第29噺「突撃京都の朝ごはん」
「んー……あれ?お布団…」
『昨日俺と聖騎士で運んだ……あー眠ィ』
「そっか、ありがと……二度寝していい?」
『おーそうしようぜ……ふぁあ…』モゾモゾ
「むぅー…尻尾邪魔ぁー……」
ガチャッ
「おいセレネそろそろ起き……………………お前らいつもそうなのか?;」
「『ん?』」
第29噺「突撃京都の朝ごはん」セレネside
さっきの僕らの光景には流石に獅朗ちゃんも吃驚したみたい。
いつものようにさっちゃんが僕をスッポリ包み込んで、尻尾まで僕の体に巻き付けていた。そんなさっちゃんを気にせずにもう一眠りしようとする僕。
しかも今は夏場、暑がりのさっちゃんは寮では上半身裸だったからさっきの個室では当然Tシャツを脱いでいたわけで…………
端から見ればただの変態である。獅朗ちゃんから危機感持てって怒られた……うーん、確かに最初は僕も嫌がってたけど、今ではもうすっかり慣れちゃって寧ろさっちゃんいないと眠れないんだよねぇ。どうしよう僕本当にお嫁にいけない、あれだよいつまでも親にベッタリな甘ちゃんだよ、いやさっちゃんは僕の親じゃないけどさ;
なんてことを思いながら、僕は京都の朝ごはんを堪能することに。
今日のご飯は若竹の柔らか煮、焼き鮭に胡麻豆腐。出汁巻き卵とシジミの味噌汁、キャベツのぬか漬けと炊きたてご飯に取れたて卵。どれも美味しそうで食欲を唆る。
それでは、食ってみましょーうッ!!←ニコニコの健啖隊風
「んー!おいひーッ!!」
『やっぱ朝は和食だよなァ、俺朝は味噌汁じゃねェと嫌なんだよ』
「何その我が儘、ていうかメフィストもだけどなんで君達そんなに味噌汁好きなの?;」
そうやって僕らが談笑していると、志摩ちゃんが此方に飛んできた。
あ、一部のご飯が犠牲に……僕の茶碗蒸しがぁあああッ!!
『ピンク頭テメェェエエエッ!!俺の味噌汁返しやがれェええええッ!!』バキィイッ!!
「いや俺やなくて金兄のせい……ってうわぁあああああさっちゃんさんんな殺生なゲフゥウッ!!」
「茶碗蒸し……最後にとってたのに…うぅー……」
「ごめんなーお嬢ちゃんうちの弟達が、ほら俺の分やるけ泣き止み?な?」
「うぅ…ヒック……ありがとう……」
「おげッ柔兄もッ!!Σ(゜Д゜)」
半泣きだったけど黒髪のお兄さん……柔兄?が茶碗蒸しをくれたので僕は泣き止んだ。
なんで皆僕が泣きそうになると高い高ーいするの?
見た目小2〜3年生だけど中身は中学生なのに……なんか複雑。
「てか誰やコイツら」
「あぁ金兄、コチラお友達の奥村君!んで柔兄が今膝に乗せたんがセレネちゃんや!
こう見えてもセレネちゃん祓魔師やで、特例の。」
「おぉそうかそうか!俺は柔造、廉造の兄貴やッ!!ソッチは四男の金造でド阿呆や。
廉造は男兄弟の末っ子でドスケベやけど、宜しく遊んでやってくれな!」
「うん、スケベなのは分かってるよ!」
「…………廉造、お前子供にまで手ぇ出し「とるわけないやろッ!!流石にそうゆう趣味無いわッ!!」ほんなら良えけど」
志摩ちゃん必死だね;
まぁ自分のお兄さんに怒られるのってスッゴい嫌だよね、しかも友達の前でとか。
「せや奥村君、これからプール行かへんッ!?」
「俺ら今日休みやん?暑いし女子誘ってプール良えやろ?勿論セレネちゃんもどうや?」
「いや僕スク水しか着たことないし、そもそもメフィストが黙ってないと思うよ;」
「……………塾長のこと忘れとったわ;」
「そういや廉造、聞きそびれとったけどな…………この人誰や?」
そう言って柔兄は僕らの隣にいるさっちゃんのことを聞く。
そういや忘れてたよさっちゃんのこと言うの。
「その人は…………………さっちゃんさんや」
「は?さっちゃんさん?」
「せや、猫又のさっちゃんさんや」
「お、おう………そうか;」
………………なんかごめんね、僕が変なあだ名ばかりつけるから;
うーん、じゃあサタンだからルシファーとか……って痛い痛い痛いやめてごめんってお願いだから噛まないでぇええええッ!!
††††††††
「クソ……なんでだ、なんで蝋燭ごと燃えちゃうんだよッ!!畜生ッ!!」
現在夜七時、燐は朝食の後からずっと屋根の上で蝋燭を灯す修行を行っていた。
あまりにも時間のかかっている燐に退屈して寝てしまったシュラだが、サタンはずっと無言で燐のことを見ていた。
『………っだァアアもうお前いい加減にしろよッ!!
どんだけ不器用なんだよお前はッ!!こないだから全然進歩してねェじゃねェかッ!!』
「うっ煩ぇよッ!!結構難しいんだよッ!!」
『仕様がねェなァ……俺がお手本ってもんを見せてやるよ、よく見てろ』
そう言ってサタンは先程から失敗してばかりいる燐とは違い、ポッと綺麗な炎を灯して見せた。
「スゲェかっけーッ!!……ってなんでお前が炎使えてんだよッ!!まさかお前ッ……」
『俺もお前みてェに昔色々あったんだよバーカ、勘違いすんな。
あんまり聞くなよ言いたくねェから』
「そっそうか、ごめんな」
………やはり燐は騙されやすいようだ。
というか息子に教えてあげるって意外と父親らしいことを…………おっと、あまり言うとナレーターまで燃やされかねない。
『(単純だなコイツ)分かりやすく言うとな、バースデーケーキに蝋燭刺すだろ?
あれにライターで炎つけるのと同じことだ。ちょっとで良いんだよ、考えてみろ……さっきのお前みてェにボンッてデカイ炎灯したらケーキごと焼けておじゃんになるじゃねェか』
「おぉ、なるほどなー!えーっと、こうかッ!?」
その時、漸く燐の蝋燭にポッとマトモな炎が灯った。
燐は感極まってサタンにくっつき蝋燭を指差しはしゃぎだす。
「うぉおおおお出来たぁあああッ!!おい見たかよ出来たぞ俺ッ!!」
『暑ィくっつくな、これくらいで喜んでちゃ次の段階が大変だぞ?』
「は?次の段階?」
『お前はまだ漸くスタートラインに立った状態だ、もう少しコントロール出来るようになってきたら応用も効くようになる』
「まだ初めの第一歩ッ!?え、応用?」
『つまり簡単に言うとな?勇者が剣の基本操作を漸く覚えた状態だ、応用はそこから技を覚えていくって事だ。ほら、どっかの格ゲーでは昇〇拳とか使える奴いるだろ?要はそういうことだ』
サタンは息子に分かりやすく説明してあげ………おっと、その炎を仕舞ってくれないか。
サタンは説明した後傍にあったビールがキレたのを確認し、『新しいの持ってくるわ』と言って屋根を降りていった。
「んにゃ……?どうした燐煩ぇ……って、お前炎出来たのかッ!!」
「へっへーん!!俺だってやりゃあ出来るんだよッ!!こんなの昼飯前だぜッ!!」
「それを言うなら朝飯前な、あれ……私のビールが無いッ!!」
「そういやアイツが全部飲んでたぞ」
「私のビールぅううううッ!!」
その後シュラは帰ってきたサタンに斬りかかったが、あっさり躱された上に尻を揉まれ余計腹が立ったのであった。そして後に和尚にまで尻を揉まれることをこの時のシュラは知らない。
後半に続く。←ちびま〇子風
To be continued…