第10噺「和風森ガール」
セレネside
「♪:訓練生ーになったーら〜♪
訓練生ーになったーら〜♪」
「♪:とーもだっちひゃっくにーん♪
でっきるっかな〜♪
ひゃーくにーんでたーべたーいな〜♪」
「♪:しーちゃんの作った草サーンド〜♪
パックン♪パックン♪パック……ン……と………」
ガクッ
「どうかな?健康に良いから薬草入れてみたんだけど……ってセレネちゃん!?
どうしたの急に倒れてッ!?時渉先生えええ雪ちゃぁぁあんッ!!」
第10噺「和風森ガール」しーちゃんと替え歌で遊んでいた次の日。
僕が祓魔塾の廊下を歩いていると、麿眉さんとショートさんが話しかけてきた。
麿眉さんは頬を赤らめて、チラチラと此方を見ては目を逸らしてモジモジとしている。
「ね、ねぇ…あんた……」
「ん?なぁに?」
「(出雲ちゃん小さくて可愛いもの好きだもんね。きっと小動物みたいって思ってるのかな?)出雲ちゃんファイト!」
「朴は黙ってて!!えっとその………………ポ、ポッキー食べる?」
そう言って、麿眉さんはポッキーをスッと鞄から取り出して僕に一袋渡す。僕はそれを見た瞬間キラキラと目を輝かせて笑う。
「わーいッ!!ありがとうお姉さんッ!!」
こ の お 姉 さ ん 良 い 人 ! !僕の思考回路はお菓子をくれる人は皆良い人とインプットされている。←危ない(笑)
流石にあからさまな怪しい人にはついていかないから安心してッ!!
「(かっ可愛…ッ!!)ほら。あ、あーん…」
「あーん
パクッ はひはほー!」
お姉さんは更にもう一袋の方を開けて僕に食べさせてくれた。やっぱりお姉さん良い人ッ!!
何故かお姉さん悶えてるけどどうしたんだろう?
「そ…そういやあんた名前は?」
「僕?時渉セレネだよ、今年から中学生で12才!因みに時渉先生は僕のお姉ちゃんだよ。」
「あぁ、やっぱりお姉さんなんだ………って12才!?小学生かと思った………私は神木出雲。コッチは朴朔子、私の親友よ」
「イズモンとえっと……海苔子?」
「そんなクマ〇ンみたいなあだ名はやめて!ていうか宛字違うわよッ!!」
「じゃあいずにゃんとパックマン!」
「何処の漫画のツインテールよそれッ!!まぁ響きが可愛いから許すわ。でもパックマンは駄目よ、いつのレトロゲームよ。」
「むぅ……じゃあ無難に朔ちゃんで」
「ふふ、あだ名を考えるのが好きなんだね、宜しくねセレネちゃん!」
「うん、宜しくね!」
僕が二人に宜しくと言うと、イズモン改めいずにゃんは「宜しく」と小さく呟いた。
いずにゃんはツンデレ属性なんだね、メフィスト好きそうだなぁこういう子。ツンデレツインテールの王道だし。
そう思いながらいずにゃんと握手をしようとしたその時、しーちゃんが此方へ駆けてきて僕らへ挨拶しようとする。
………あれ?いずにゃん機嫌悪くなった?
あ、しーちゃん転けちゃった。駄目だよ下駄で走ったらッ!!
「廊下を走ってはいけません!」って塾長のメフィストから言われるよ!
盛大に転んだしーちゃんを見て、いずにゃんは「だっさ!!」と言って僕に教室へ行こうと催促する。
「ごめんねいずにゃん、僕しーちゃんと行くから先に朔ちゃんと行ってて!」
「……ふん、分かったわよ」
いずにゃんは拗ねて朔ちゃんと共に行ってしまった。
なんで拗ねちゃったんだろう、僕何か言った?
「しーちゃん大丈夫?顔面からダイブしたせいで顔真っ赤だよ?」
「あれ、何やってんだよお前ら」
「あ、燐兄しーちゃんが……「なっ…なんでもないッ!!」え、でも…「なんでもないのッ!!」……分かった、言わないから僕の手くらいは取ってよ、地べたに座ったままは嫌でしょ?」
そう言って、僕はしーちゃんに手を差し伸べる。
「あっ…ありがとう……」
しーちゃんはきっと友達を早く作ろうと焦ってるんだ、燐兄が不器用だからしーちゃんに気持ち伝わってないだろうし。
僕は友達だって言ってるのになぁ……。
教室へ向かう燐兄達を見て、僕は後を追いかけながらそう思った。
(二人に頼ってばかりじゃ駄目だ、私は強くなるって決めたんだッ!!自分の力でお友達増やすんだ、目指せ友達百人!!)
…………百人という無謀な数を目指すしえみであった。
To be continued…