第6奏
ゼロside
「二次試験は……料理よッ!!」
は…?料理?
俺はそれを聞いて口をあんぐりと開けた。
え、試験で料理?
マジかよおい、んな試験聞いたことねぇぞ。
周りの奴等も驚き動揺している。
モデル体型の姉御肌な女はメンチ、横太りした腹の鳴っているデカイ男がブハラというそうだ。
ブハラが出したお題は、豚の丸焼き。本人の大好物らしい。
「ていうか腸とか出さなくていいのかよ?………まぁいいや、面倒くさいし。」
「いいの!?」
「良いんだよ、多分。」
「いや多分って!!」
「どうせ他の奴もそこまでしないだろ、平気だって」
「うーん…良いのかなぁ……」
そう言いながら、俺とセレネは豚を狩りに来た。
って………
「グレイトスタンプしかいないじゃねぇかよ。」
あのブハラって奴、見かけによらず案外鬼畜だな;
まぁ俺は平気だけど、と思いながらその辺に落ちていた長い木の棒を拾い、此方に突進してきた豚の口目掛けて勢い良く棒を投げる。豚の体は、棒が口から尻まで貫通してバタリと倒れた。
「よし、これで準備万端だな。セレネ、そっちはどうだ?」
「こっちも捕まえたよー!」
「ブキィィイイッ!!」
セレネは「じゃーん!」と言って豚を見せてくる。よく見ると、豚はぴったりサイズの鳥籠に捕獲されていた。
……え、生け捕り?;
聞いたところ、セレネに向かって突進して来た豚をタイミング良く鳥籠を念で具現化し、捕獲したという。
「いやいや、いくら具現化系寄りとはいえそんなのアリかよ;てか焼く時どうすんだよ。」
「うーん………火炙り?」
……俺より酷い奴が此処にいた。
いや俺も充分酷い殺し方したけどさ、生きたまま焼くとかどんな拷問だよ。魔女狩りか……いや魔女の処刑であったよな、火炙り。
「お前豚が可哀想だろ?見ろよこの表情、綺麗なピンク色の肌してたのに顔面蒼白どころか真っ青になってんじゃねぇかよ。さっきまで物凄い形相で暴れまくってたのに、今では死んだ魚の様な目をしてるぜ?」
こんな絶望しきった顔の豚見たの初めてだよ、てか見たくなかったよ。
「じゃあやっぱり普通に殺すかな。」
「ごめんね」と言いながらセレネは大きなハンマーを具現化し、豚の頭を殴った。
なんて安らかな表情なんだ……殺されるっていうのに。そりゃあ火炙りより普通に撲殺の方が良いだろうけどさ……なんだかなぁ;
そんなこんなで俺達は、豚二匹を長い棒に指してくるくると回しながら焼いた。
上手に焼けましたー☆
……………………さて、こんがりと焼けた美味しそうな豚はブハラの腹の中に収まり、次はメンチのお題に挑む事になった。
え?なんで今黙ったかって?んなこと聞くなよ恥ずかしい、ツッコむ奴がいなかったんだよ。
「というわけで、私からのお題は…寿司よッ!!」
寿司か、俺ブリとかハマチ好きなんだけど……流石に此処にはそんな材料無いよな;
他の奴等は殆ど寿司を知らないらしく、皆動揺している。
「セレネ、お前も寿司知ってるか?」
「うん知ってるよ。“も”ってことは…ゼロも?」
「おう、というわけで一狩り行こうぜ。」
「いや魚捕まえるだけで狩りとは言えないんじゃ…「魚ァァアアッ!?ここは山の中だぜッ!?」「馬鹿ッ!!声が大きいッ!!#」……レ、レオリオ?」
レオリオとクラピカは、いつの間にか俺達の話を聞いていたらしく、セレネが魚という単語を言った瞬間レオリオがソレについて叫んだ。
慌ててクラピカがレオリオを叱るが、時既に遅し。
レオリオの叫びを聞いた全員が、川のある方向に向かって走り出した。
「「………」」
「あ、アイツら聞き耳立ててたのかッ!!くっそオォ……汚い奴等だぜッ!!#」
「「「いやお前が悪いんだよ/ぞ」」」
三人同時にツッコんでも悪いと思っていないレオリオを見て、俺達は溜め息をついた。
こんなんで大丈夫か?俺達。
To be continued…