第5奏
ゼロside
あれから俺達は、ゴンの犬並み…いや獣並みの嗅覚のお蔭で、レオリオのつけていたオーデコロンという香水の匂いをたどり、無事二次試験会場へついた。
「ていうかお前どんな嗅覚してんだよ、犬より優れてるだろその鼻。」
「うーん……小さい頃から森で遊んでたからかな?」
「おかしい……普通なら人間の嗅細胞は約500万個で犬の嗅細胞は約2億個。
嗅細胞の数だけでも人間の40倍という計算となるのにゴンは……」
「おいクラピカその辺にしとけ、ゴンに普通を求めるのは諦めろ。」
クラピカは未だにブツブツと計算して悩んでいる。もういいや放置だ放置。俺達を見つけたキルアが「クラピカどうしたの?」と聞いてきたので「そっとしといてやれ」と適当に返事をした。
俺は溜め息をつき試験会場を見渡す。
すると、あのネットリとした視線が向けられていることに気づき、俺はその方向を向いた。
「あ、」
「やぁ◇」
そこには案の定ヒソカがいた。
ヒソカの肩に担がれているセレネが、「降ろせぇえええッ!!」と半泣きで嘆いている。
見てるコッチが悲しくなってくるわ。
「いい加減降ろしてやれよ」
「嫌だ◆」
「パ〇ー逃げてッ!!この人は私達を殺す気よッ!!」
「シー〇に何かしてみろッ!!飛行石は戻らないぞッ!!」
「君達そのネタ好きだねぇ◇」
いやぁ俺達ジ〇リ好きなんで。
俺がそう脳内で返事をしていると、セレネが痺れを切らして叫んだ。
「いい加減降ろしてよもうッ!!……お兄ちゃんなんて大っ嫌いッ!!!」
ピシィッ……!!!
「………………仕様がないなぁ◇」
そう言って、ヒソカはセレネを降ろした。
おい、今ヒソカ固まらなかったか?;
ていうか空気が凍ったぞおい。
俺達はそれをスルーしてヒソカから離れ、キルア達のいる場所へと戻った。
†††††††††
「あーッ!!お前何処行ってたんだよセレネッ!!」
そう言ってキルアがセレネの元へと駆け寄り、怪我をしていないかセレネの体全身を見て確認する。
お前はセレネの保護者か。
「アハハ、ごめんごめん。ちょっとお兄ちゃんに拉致されていてね;」
「は?お兄ちゃん?」
キルアはお兄ちゃんと聞いて、頭にハテナを浮かべる。
「え、お兄ちゃんって……;」
「まさか……」
ゴンとクラピカはセレネが拉致される所を目撃していたので、まさか……と思い冷や汗を流す。
「あぁ、お前らは聞いてないよな。コイツ、あのヒソカの妹なんだぜ?」
そう言って、俺はセレネの頭にポンッと手を置き、ワシャワシャと撫でた。
「「「ええぇぇええええ!!??」」」
3人共驚愕の表情を浮かべ、あまりの出来事に後ずさる。
「セレネにお兄さんがいたなんて俺初耳だよ!?」
「本当なのかセレネ!?あんなのがお前の兄だというのかッ!?」
「クラピカ、あんなのって……;」
セレネは自身の両肩をガシッと掴むクラピカに、「アハハ…;」と苦笑いする。
「うーん、そんなに驚くことかなぁ?」
「そりゃあ驚くに決まってんだろッ!?あのヒソカが兄ィイイ??
全っっっ然似てねぇじゃねえかッ!!!」
おお、俺と同じ事言ってるぞキルア。
髪と眼の色くらいしか一致しないもんなこの兄妹。
誰だってそう思う、俺だってそう思う。
「あれ、そういえばレオリオは?」
「レオリオならあの木陰だよ、ほら。」
セレネが指を指す方向を見ると、気絶したままのレオリオが木に凭れかかっていた。
俺達はレオリオの傍へ行きレオリオを起こす。
「レオリオ、大丈夫?」
「うむ、腕の傷以外は無事なようだな。」
「てめ……顔をよく見ろ顔をッ!!」
「良かった良かった」と頷いているクラピカに、レオリオは額に青筋を立てながら顔を見ろッ!!と怒鳴る。先程ヒソカに殴られた所が、真っ赤に腫れ上がり痛々しい。
「いつから気づいてたの?」
「ん?あぁついさっきな。しっかしなんで俺こんなに怪我してんだ?
どうも湿原に入った後の記憶がハッキリしなくてよ。」
「「「「…………」」」」
レオリオのその発言を聞いた俺達は、全員顔を見合わせた。
(言わない方が……いいな。)
(おう……)
(そうだね)
「??」
ギュルルルルルル
グオルルラル
ゴゴゴゴゴゴ
ガゴゴゴグオオオオ
先程から大きな扉の向こうから、とてつもない効果音が聞こえてくる。……一部だけなんかジョ〇ョっぽいのが混ざってた気がするが、そこは触れないでおこう。
「ねぇキルア、さっきから聞こえてくるこの音って何?;」
「俺が知るかよ;扉には正午に二次試験開始って書いてあったから、あともうすぐだぜ」
セレネがキルアに聞いたところ、どうやらもうすぐで二次試験が始まるようだ。
俺は建物についている時計の針を見つめる。
5…
4……
3………
2…………
1……………
ギィィイイイイ
時計の針が12時を指した瞬間、漸く扉が開いた。
建物の中には、スタイル抜群の美人な女と太った男………まるで美女と野獣の様な(ry
あの凄まじい変な音は、男の腹から出ていたようだ。どんだけ腹へってんだよ。
「どう?お腹は大分すいてきた?」
「聞いての通り、もうお腹ペコペコだよ。」
「そんなわけで、二次試験は………料理よッ!!」
………は?料理?
To be continued…