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あの無人機襲撃事件から日が経った。あれのおかげで俺がアーマードライダーということが全校に知れ渡った。あの試合は学校内で中継されていたのは知っていたが無人機との戦いも中継されていたらしい。逃げなかったカメラマン凄いな。もしくは別室で遠隔操作していたのかもな。そっちの可能性の方が高い。そして女尊男卑主義者のアーマードライダーの評価は相変わらず最悪だ。女尊男卑主義者だと思われる女に睨まれた。いつもはスルーしているが今回は取り敢えず睨み返した。すると女は一目散に逃げ出した。こういうことが続いている。ネットの掲示板も見てみた。もう叩かれまくっている。ISこそ嗜好と書かれている。そしてこんな書き込みがあった
『アーマードライダーは人殺しの道具』
これは俺と戒斗で無人機を倒したことだろう。確かに、普通は無人機だとわからない。はたから見れば殺したに見えなくもない。だが、ISも大概だろう。あれだって普通に人を殺せるレベルだ。それに便乗して『最低』や『あってはならない存在』などと書かれている。これはいずれアーマードライダーとISの全面戦争が起きるんじゃないかと思ってしまう。むしろ本当に起きそうで怖い
そして教室でこんな会話を耳にした。女子達は声が大きいが故に自然と聞いてしまう。
「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」
「え?そう?ハヅキのってデザインだけって感じしない?」
「そのデザインがいいの!」
「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」
「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」
どうやらISスーツの話をしているみたいだ。ISスーツにもメーカーによって違いがあるらしい
「そういえば織斑君のISスーツってどこのやつなの?見たことない型だけど」
「あー。俺のは特注品だって。男のスーツがないから、どっかのラボが作ったらしいよ」
俺ではなく織斑に聞いた。オルコット戦以来俺は『酷くて最低な奴』というレッテルが貼られた。更に無人機戦後は人殺しが加わった。あれを無人機とこいつらは知る由もない。その結果、俺はこいつらに恐れられている。それ故、俺に近づこうとする奴は誰もいない。あの3人は例外だが。あの3人の俺に対する認識は
「フルーツを持ってきてくれるいい人」
フルーツを持ってくればいい人なのかと思ったがあれで喜んでいるので良しとする。それにあの3人は俺のことを心配しているみたいだ。あいつらの良心に触れた俺は事情を話した。すると3人は途端に安堵した。そこまで俺を心配していたとは。このことは誰にも話すなと念を押した
「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検地することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きを行います。また、このスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃はきえませんのであしからず」
すると山田先生が現れ説明をしだした。いつからいた?
「山ちゃん詳しい!」
「一応先生ですから。……って、や、山ちゃん?」
「山ぴー見直した!」
「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんです。えへん。……って、や、山ぴー?」
こいつら、先生と仲良くなったからといってあだ名で呼ぶな。一応あれでも先生なんだからちゃんと敬意を払え。そう思っているうちに織斑先生が来たか
「諸君、おはよう」
「お、おはようございます!」
「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」
だったらスーツいらないだろ。それにしても、本当にこいつが白騎士なのか?もしかしたら動きを真似しただけという可能性もある。取り敢えず今は疑うだけにしよう。本当にそうだったら敵だ
「では山田先生、ホームルームを」
「はい。ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!」
「「「えええええっ⁉︎」」」
この前2組に転校生が来たばかりだろうに。しかもこのクラスに2人か。転校生ラッシュだな
「失礼します」
「……………」
来たか。……………何?
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
「お、男……?」
………いや女だろ。だがフランスか。フランスと言えばあの人はフランス国籍を持っていたな
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方々がいると聞いて本国より転入を」
何だこいつ?本当に男だったら既に世界に報道されてもおかしくないはずだ。だったら情報規制していたことになる。このタイミングで来る意味がわからない。怪しさ満点だな
「きゃ……」
「はい?」
「きゃあああああああああーーーーーっ!」
いきなり叫ぶな。耳が痛くなる
「男子!三人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった〜〜〜!」
本当に男と思いこんでいる。それと最後の奴、良かったな、地球に生まれて
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから〜!」
もう1人か。随分と物静かな奴だ。それに、何だあの眼帯?
「……………………」
何も言わない。奴の雰囲気、軍人か?
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
成る程、奴は織斑先生がドイツ軍で教官をしていた時の教え子か。やはり奴は軍人か。軍人と言えば、あの人も軍人だったな。片方がフランス人で片方が軍人か。組み合わせてあの人になる
「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
本当に了解したのか?また教官と呼びそうだが
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「……………………」
名前だけ言って済ませたか。俺の自己紹介もこんな感じだったから人のことは言えないな。俺だけじゃないか
「あ、あの、以上……ですか?」
「以上だ」
簡単な挨拶ご苦労。ん?自分の席じゃなく織斑のところにむかった?何故だ?
「貴様が織斑一夏か?」
「ああ、そうだけど?」
パシィイン!
ボーデヴィッヒがいきなり織斑に平手打ちをかました。随分と物騒な奴だ。織斑は何故叩かれたのか全然わかってない。俺も何故叩いたのかわからん
「織斑一夏、私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」
ただの私情か。随分とくだらない理由だったな
「ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」
2組と合同か。それにISを使うのは入試以来になる。まずは更衣室に行くか