01 宣言
私、ヴァニラ・アイスは、自分で言うのもアレだが、DIO 様にとって最も忠実な部下である。DIO様の下で過ごしている内に、ちょっとやそっとの事では動じなくなっていた。私の血をDIO様が欲した時も、血を抜かれた美女の死体を処理する時も。
DIO様はよく理由も言わずにお出掛けになるから、私は気にしていなかった。私は、これから起こることを何も知らずに鼻歌を歌いながら掃除をしていると、ちょうど帰ってこられた。
「あ、DIO様!おかえりなs」
戸口にはDIO様は居なかった。代わりにDIO様にそっくりな、黒髪の男の子がキョトンとした表情で突っ立っていた。
…誰ッ!?
「ただいま、ヴァニラ。」
「ディ、DIO様…。この子はいったい…?」
男の子の髪をくしゃくしゃと撫でながら、DIO様は、
「この子か?汐華初流乃だ。ハルノ!この人がヴァニラ・アイスだよ!」
「ヴァニラ・アイス、こんにちは!」と、ハルノ君とやらは、可愛らしく挨拶してきた。
「あ、あぁ…こんにちは。それで、DIO様。誘拐してきたんですか?」
「ま、まさか!この子には、俺以外に身寄りが無いから引き取ってきた。」
…そうですか
「そこで、ヴァニラ。ディオはここに宣言する…。」
「な、何をですか?」
「俺は子育てを始めるぞ、ヴァニラァァァ!!!」「えぇぇぇぇぇ!?」
ディ、DIO様が、子育て!?何故?Why?
「で、でもDIO様。この子を孤児院に入れればいいじゃないですか!」
「うむ…そうはいかん。」
「な、何でですか!私たちには、野望があるんですよ!」
「ヴァニラ。この子の親が誰だか知ってるか?知らないよな。」
「この子の親は…このディオだッッッ!!!」 「はぁぁぁぁぁ!?」
DIO様に子供…DIO様に子供…DIO様に…
「ヴァニラ?どうしたんだ、ヴァニラァァァ!」
…頭が痛い…気を失ったらしい…
「ヴァニラ。大丈夫か?」
「大丈夫?ヴァニラ?」
急いで体を起こした。さっきの事が全て夢だったらいいのに…
「DIO様!絶対駄目です!ジョースター達の事はどうするんですか!?」
「あぁ。あいつらか。もう、どうでも良い。」
「駄目です!」
口論を続けていると、ハルノ君が、
「パパ?大丈夫?」
私はとても怒っていたので、ついハルノ君に強く当たってしまった。
「うるさい!ガキは黙ってろ!」
ゴゴゴゴゴゴ「…おい、ヴァニラ。このディオの可愛い可愛いハルノに向かってよくそんなこと
が言えるな…」
「あ、いや、そんなつもりは…」
「じゃあ、ハルノ!せーのっ!」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァ!!!』
…息子もスタンド使いか…
私はそのまま、夜のエジプトに吹っ飛ばされた。
遠くから、
「キャーハルノ!血が出てるゥゥ!大丈夫?」
「パパこそ大丈夫?」
とか、聞こえてくる。
仕方ないな…。もうあれは、覚悟した目だった。DIO様の部下として、あの人を支えていくか!
こうして私の運命は、大きく変わっていった…。