01 始まりの始まり
それは、俺が目覚めてから4年ほど経ったある日のことだった。
花京院とポルナレフがジョースターの奴らの仲間になったことを除けば、俺は満足していた。まあ、このディオの細胞で作った『肉の芽』で操っていた奴らだし、『肉の芽』を植え付けてからそれほど時間が経っていなかったから仕方ないだろう・・・。『肉の芽』で操らなくても自らの命を捧げるほどまでに、俺に忠誠を誓っている奴は大勢いる・・・。
俺は自分にそう言い聞かせながらワインを飲み干した。ほぼ毎日、ジョースターの奴らに刺客を送っているとほぼ毎日部下からの電報が、送られてくる。たいがい、『○○が、倒された』だとか、『○○が、死んだ』だとかが送られてくるのだが、うれしいことに今日は一通も無かった。あまりに久しぶりのことだったので、俺は、自分の運命を大きく変えることとなる手紙に気付いていなかった。
「DIO様・・・。」俺の食事の後片付けをしていたヴァニラ・アイスがつぶやいた。
「ん♪どうしたんだヴァニラ・アイス?」電報が無かったことで俺は有頂天になっていた。
「DIO様の足元に手紙が・・・。」
「ま、まさか電報では・・・な〜んだ!ただの手紙じゃないか!!」電報でないことがわかった俺は、ほっと胸をなでおろして、差出人の名前を見た。
「ん?」・・・誰だこいつは?イタリア人・・・。それに・・・女だ。何が何だかわからないが、とりあえず読んでみることにしよう。なになに・・・。
「はぁ!?」 「ど、ど、ど、どうなさいましたか??」
し、信じられん・・・。こ、このディオに・・・。とりあえず・・・
「・・・出かけてくる」
「そ、そんな急n」慌てるヴァニラ・アイスの言葉を遮り
「夜明けまでには帰る」と、言い残して、イタリアにむかった。
ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・飛行機に乗ればよかった・・・。金を使わない為に、時を止めながらエジプトからイタリアまで来たが、さすがに無理があったな・・・。
誰もが眠る町を、獣のようにすり抜けながら、目的の場所まで急いだ。ようやくたどり着いた俺は、朽ち果てかけた木のドアを、軽く2回ノックした。すると・・・顔色の悪い老婆が、顔をのぞかせた。
「ブランドーさんですね?用意はできていますので、少々お待ちください。」
そう言って老婆は駆け出した。少し待つと、
「ブランドーさん。こちらが汐華初流乃です。初流乃、こちらがブランドーさんよ。
」
これが、俺の運命を大きく変える少年・・・そして、このディオの最愛の息子となる、ジョルノ・ジョバーナとの最初の出会いであった・・・。