07
章吾に裁判所からの通知が来たのは、その1か月後だった。
裁判の前に気の弱そうな小柄な担当の弁護士と章吾は話す。
「この裁判についてですが・・・」
「お願いがある、死刑だけにはしないでくれ、残りの人生楽しみたい」章吾は言う。
「貴方が殺そうと思ったのですか?」
それを聞いて章吾は少し黙ると、
「ああ」と答える。
弁護士の男も組の命令なのは薄々気ずいているようだ。
「そうですか。貴方を死刑にはさせないです」
そして裁判が開かれた。
「章吾被告、前に」
裁判官が言う。
「ああ」
と章吾は証言台に向かう。
この裁判を見ている人はなぜか多く。多くの人が見ている。
「貴方は殺人を犯した、動機は何ですか?」
「とにかくあいつを殺したかったんだよ」
2回目の裁判では、組の頭も出廷され、検察により証言台に立たされる。
検察が「被告は、被害者は組に多額の借金をしていたようですが、それについて教えてほしい」
「知らないですよ」頭は答えた。
「では、章吾君の発言を聞きたい」
と章吾は証言台に立たされて聞かれる。
「貴方は組の借金を帳消しにするために、ボスから殺害を命令されたのではありませんね?」
「違います」章吾は言う。
「被告は組のボスをかばっているのではありませんか?」
「違うよ!」章吾は答えた。
裁判官が「怒鳴るのはやめたまえ」と言う。
裁判の傍聴席がざわつく。
弁護士が、「検察官の発言には根拠がありません」と言う。
裁判官が「発言を認めます。検察官は被告についてに質問してください」
検察官は「では質問を変えます、被告は過去に組での暴力事件に関与しているようですが・・・」
「昔の話だ」
「今回の殺人も簡単な気持ちで行ったのですか?」
「頼む、死刑にはしないでくれ〜」泣きながら章吾は叫ぶ。
その章吾に裁判官の表情がゆがむ。
そのうち判決が決まった。
「被告に判決です。被告を網走刑務所で刑期20年の刑に処する」
裁判官は言った。
判決後、章吾は組の頭に、
「おやっさん。20年後にまた会いましょうや」と言った。
「達者でな」頭は答えた。