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それから、ラリーの機体の残骸は確認できなかった。
多くのベルカの機体の残骸や、黄色の13を兄が堕とした事はティムに伝わっていた。
残念ながら、ハードリアン線の連合軍はV2を阻止した事で全滅を逃れ、帰還した事。
ラリーの安否はわからずじまいで、ただ、最後に話した、若いパイロットとの通信が最後だった。
国内への戦争反対運動により、ベルカ運動は最後を迎えた。2月、
ついにベルカはウスティオとの停戦に合意し、在ベルカ軍の撤退を可決した。
ゆっくりとしたペースで、ティム達の家族を乗せたトラックは、浜辺を走っていた。
まだ、完全に整備されていない黄色の砂の車道の浜辺を、トラックは走っていて、
着くまで、面倒を見てくれるよう言われた、
運転手の同じトラックの荷台に乗った飼い犬がゴトゴトと車両が揺れる衝撃のたびに驚いている。
空は青く、入道雲が立ちこめている。
ティムは、家族とエルジアからの引き揚げにより再会し、家へ戻ってく途中だった。
ティムは、そろそろ着くだろうとトラックの後ろに家族と乗りながら、しきりに荷台から顔を出し、
外を見ていた。
外を見ながら、思い出を妹に語る。妹は話しの興味より旅に疲れていたのだろう。口数は少なくなっていた。
砂浜を抜けて、車道のある、丘を上がる。
ティムは外の景色を確認しながら、内戦を終えた自分に、少しは励まそう、
少しは褒めてやろうなんて考える。家が見えてきた。ティムは、家に帰ったら、内戦の終結の祝に美味しい飯にありつけるかなんて思っていた。「心配しないでも私が何か豪盛な物を作るから」
と妹はティムの気持ちを察して、気をきかせて言った。
「内戦が終わったからとっておきがいい」とティムは呟いて、外を見る。
冷たい風が吹いていたが、ティムには心地よかった。
家の近くにトラックが止まり、トラックの荷台の緑色のシートをめくり、家族をゆっくりと降りるのを助けた後、
ティムはトラックの引き揚げの運転手に礼を言い、ティム達は、自宅に戻った。