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雪深い峰を多くのトラックが走っているのが見える。
ラリーはエルジアの国境を超える際に検問で多くの移民とともに、
2時間の待ちぼうけをくらうはめになった。
検問付近は吹雪に覆われていた。ラリーは将校に自分の身分証明書と通行証を見せていた。
政府軍の将校が敬礼してラリーを迎えていた。
検問のゲートは多くの移民で満ちていて、国境のゲートが開くのを待っていた。
ゲートが開くまで時間はある・・・。
ラリーはゲートの手前のストーブの暖房のきいている駅の待合室で同じエルジアへの移民の男達とポーカーをして時間を潰していた。
その時、多くの移民が、内戦のハーディングとプスマティの会見のラジオ放送を聴こうとラジオの周りに人だかりの群衆が満ちていた。
ラリーはそれが初めに何の放送か解らなかったが、次第に意味を理解して、
ラジオ放送を聴こうと、群衆をかき分けて、ラジオの放送を聴こうとした。
「ちょっと通してください。放送を聴きたいんだ」
聞こえづらい演説の声がしだいに大きく聞き取れるようになる。ハーディングの演説がラリーの耳に届いた。
「勇敢なウスティオの勇者達諸君。内戦は終わろうとしています。
ですが、残念ながら、今、ベルカは国際秩序を破ろうとしています。
ベルカの軍の撤退の時期が遅い。ウスティオ軍の抵抗により、ベルカの勢力はたてまえ上、
北に引き上げていますが、私でも真意は分かりません。ただこれだけは事実です。ウスティオはベルカに絶対に屈しない」
その時ラリーを呼ぶ声がした。
「ラリー・フォルクさんはいますか〜?」と大声で呼んでいる。国境の青年兵だ。
「僕がラリーだ」その声を聞き、戸惑いながら、ラリーも大声で答える。
群衆がラリーに注目する中、
「ロスマン空軍大佐から、貴方に電話を伝えてとの事です。
おそらくここにいるとゆう事で電話があります」
ラリーは雪を気にしながら青年兵の後を追い、
ロスマンの電話に出た。