08
青年将校がスピルー将軍の扉のドアを開けて入ってきた。
スピルーの部屋は、多くの将校達でいっぱいだった。
「国防長官からお電話です。閣下」青年将校は言った。
「ああ、そうか」そう言って、青年将校は後にする。
「国防長官からです。
これ以上のウスティオ内戦への大幅な戦力の投与は出来ないとの事・・・」
スピルーは、ウスティオ内戦のさいに大幅な軍事投与を望んでいたが、ウスティオの戦力投与は、
エルデラン首相が倒れて、慎重になってきている。
スピルーは、それでも勝てる戦争だと言い切って、大幅な戦力投与を望んでいたが、
ウスティオの反政府の抵抗が激しく、なかなか上手くはいかない。
上層部に戦果の上がっていると報告を先延ばしにしてきたが、どうやら今回はそうはいかないだろう。
来年まで、大きな勝利がなければウスティオからベルカ軍は撤退せざるを得なくなりそうだ。
今、ベルカでは大きく改革が進んでいる。これ以上の戦争の継続はどうかとの意見が多数だ。
スピルーは焦っていた。なんとしてもベルカの勝利を見せつけたい。
そうすれば、上層部の判断も変わってくるだろう。勝利出来ればの話だが。
ウスティオの政権も内戦の終結を急いでいる。
なんとしても勝たなければいけない。ディレクタスも奪還された。反政府の支援の増える中、
ウスティオの空軍の残存兵力の第9連隊と特殊部隊の主力の投与をスピルーは決定した。
「ウスティオもベルカが本気を出せばわかっているだろうな」とスピルーは呟いた。
「ウスティオからの撤退の意見が多いですね閣下」
「戦争継続の判断は、後、数ヶ月の結果によって決める。今、我軍は制空権を地域により確保した。
ウスティオがどう出るかによって、戦力の投与有無を決める。
主力を注ぎ込め。内戦に主力を投与できる最後のチャンスかもしれない」そう言って、
将校が、戦争継続を主張する中、スピルーは席を立ち、黙って執務室に行ってしまった。