07
10月、内戦は、終幕を迎えつつあった。
ベルカの町では、スハルスキー像が撤去に町は忙しかった。
鳩が周りに寄ってきて、子供達が、巨大なスハルスキー像の撤去工事を見守っていた。
「おい、倒れるぞ!」
スハルスキー像の撤去を見つめていた、ティムに声が届く。
スハルスキーの像が倒れた。
その途端、民衆から歓声があがった。
多くの国内のテレビ局もスハルスキー像の顔が道に倒れこんだ写真を撮り、報道していた。
市民の一人がテレビからインタビューをうけている。多くのカメラが回っていた。
たいへん多く市民が広場に集まっていて、多くの人がこの歴史的日を見ようとつめかけていた。
市民の一人がウスティオ国歌を歌いはじめた。
それは人だかりとともに大きくなっていって、ティムも市民達と腕をくんで歌った。
泣いている歳をいった人もいて、人だかりは増えていった。
エルデランの死により、ウスティオの内戦への考えも変化しつあった。
ティムは、内戦で多くの人が戦火を離れてエルジアに亡命しているニュースを目にし、
自分も家族の所へ行きたいと希望して、
エルジア行きのビザの発行を希望していたが、そう簡単にはいかなかった。
ティムは、朝、髭を剃るといつものように新聞社に出勤した。
「エルジア行きのビザの件どうなった?」
「なかなかうまくはいかないよ」
と話をしていた。そんなティムにウスティオの刑務所から電報が届いていた。
ウスティオ刑務所の囚人の身元引受人になってほしい
との知らせだった。ティムは理解して、すぐ刑務所の書かれた番号から、刑務所に連絡を入れた後、
「内戦はもうすぐ終わる」
「身元引受人って、どうゆう事だ?」と仲間に聞かれて、
「個人的な事だよ」とだけ話して、刑務所の電話の紙を大事にしまった。
「反政府が、ディレクタスを解放したようだ」仲間の一人がティムに伝えた。
ティムは、内戦下の兄の安否を確認しようとしていた。
「政府軍とは、内戦は終わる。だが、ベルカはどう出るか解らない。
ベルカ軍は大量の戦力投与をやめないが、エルデランがいなくなって、考えも変わりつつある。
もし、ベルカ軍が撤退すれば、やっと平和が訪れる」と言った。