06
エルデランの悲報は、ディレクタスの反政府軍の兵士達をふるいたたせた。
今年で25になる青年兵は、こじらせた風邪で咳をしながら、
ディレクタスの周りに焼夷弾をしかけていた。
ディレクタスは激戦で、反政府軍は南で激戦を繰り広げていた。
軍の第5師団だった彼。銃声が響き、敵の戦車の砲火につれ地面が地震のように動いた。
青年兵は、仲間の一人とコンクリートの影で、缶詰を食べて、敵の動きを本部に連絡する。
青年兵は、銃を肌身離さず持っていて、体と銃を結んでいる紐を2重にしていた。
市街に機関銃の音が響いている中、青年兵は、ベルカ軍の戦車のいる市街を避けて、
仲間と左から近づいていた。
「ここから、戦車隊に近づけるだろう」青年兵は言った。
その中、仲間が、「少し、静かにしろ」と言う。
鐘の音が聞こえる。ディレクタスの鐘の音だ。
それは、敵、味方関係なく、ウスティオの兵士達を感動させた。
「もう少しだ。あとひといきでベルカ軍をこの地から撤退させてやる」
「ベルカ軍を首都から開放して、ディレクタスの鐘の音を聴こう」仲間達は口々にそう言った。
仲間が、起爆装置を起動させ、轟音に包まれる。
9月、反政府軍は、ディレクタスをベルカ軍から解放した。
ベルカ国旗が燃やされ、市民兵にベルカの捕虜が捕まっていた。
青年兵は、本部に、「我々、5師団は、ディレクタスを解放した。
くりかえす、解放した」本部からは、歓声が起こった。
ディレクタスにウスティオ国旗がたなびいた。ウスティオの聖堂から、自由の鐘は鳴り響いた。
「鐘の音が聞こえる」そう子供達は遊びをやめ、耳をかたむけた。
ディレクタスの廃墟に、鐘の音とともに、市民達の勝利の歓声が聞こえた。
多くの兵がそのしらせを聞いて、廃墟のビルから広場に出てきた。
「戦いは終わったのか」
「町は開放された」司令部の声が届く。
ティムは疲れた表情でこの声を聞く。司令官は冷静に「負傷者の数は?」と答えた。
瓦礫の山のディレクタスのビルの溝にベルカ軍の戦車が体の半分が落ちていて、車輪が溝に落ちている。
その戦車は数人の子供の遊び場に使われていた。子供達の隠れ家になっている。
ディレクタスの4つ大通りの中心は広い広場になっていて、そこだけは廃墟になっていない。
兵士達は銃を片手にディレクタスの中心部に集まってくる。
広場には多くの市民が集まっていて、戦争や別の話しを多くしていた。
町は、普段は銃声がうるさく聞こえていたのが、人々の騒ぎで満ちている。
知らせを聞いたか、ディレクタスの解放に、たがいに喜びあう。市民の一人が国旗を掲げ、たなびかせた。
人だかりがますます増えていった。
廃墟の町は賑やかだった。