05
8月。
ベルカ最高首相、エルデランの国葬が行われた。
それは、スハルスキー時代からののベルカ運動の終焉を予感させる出来事だった。
市民たちが道路でとり行われる、国葬を見守っていた。
国葬のパレードは、トランペットを弾きながら、ベルカ国旗に覆われた、エルデランの遺体にベルカの旗をかぶせており、多くの兵士達が、広場までの長い距離を続けて運んでいた。
道はエルデランの死を悼み、音楽に満ちていた。
そのニュースはウスティオのTVにも中継されていた。
ある物は、ニュースを聞きベルカ時代の終焉を知った。
ティムの新聞局では、このニュースで沸いていた。
ある者は悲しみ、ある者は祝杯した。
「エルデランが亡くなったか。これはウスティオにとって大きな転機になるだろうな・・・」仲間が言う。
ティムは水道が止められていて、
自分の家の地下水をポンプで汲み上げながら、そのニュースを知った。
「今日は反政府にとっても大きなニュースだ」
「今は何も話す気がおこらない。ベルカの時代が一つ幕を下ろそうとしている。
そんな事より、食事だ」
スカーフを被った女性達が水を汲もうと、ティムの家の近くに列をなしている。
ティムは、自分の机から、「エルデランが死んだか・・・。ウスティオの内戦は落ち着きつつある。願ってもない知らせだ。この事が今の内戦に大きな出来事、いやベルカだけじゃない」と言う。
「今、内戦は泥沼化している。ベルカの支配は終わるんだろうか」
「エルデランの次は、ウスティオ内戦が、我が方に特益になり、
政府軍も勢いを止まらないか?」
「そう願っているよ」と皆はティムに答えた。
「政府もエルデランが倒れれば、急速にウスティオ内戦も良くなる。
内戦の事についていくつかの新聞記事を発行したい。
ウスティオのためにも」
「ああ」ティムは短く答えた。