03
この機体も老雄だな。自分の軍で最後の日に自分のSu27をまじまじと見つめた。
これから退役して普通の生活に戻る。
給料も高くないけれども、苦しい軍の生活とおさらばできる。
一つ悔みなのは、自分の好きな空が見れないことだ。
外が冷えてきたので、ラリーは基地に入り、暗い自分の部屋にスイッチで電気をつける。
少し遅めに明かりがついた。
ラリーは部屋に戻ると、自分の室内の衣服や荷物を
茶色のアタッシュケースにまとめだした。
そして依頼していた、ベッドの上におきっぱなしのエルジア行きのビザを大切にポケットにいれる。
今日で新しい門出ができる。
ラリーは軍の休憩室で、基地用のドリンクバー容器に入ったオレンジジュース。それを紙カップで注ぐ。
赤いランプとともに注がれたココアを飲んだ後、少し、休憩室で時間を潰し、
自分の名を紙で書かれた、誰もいないロッカーで着替えをすました後、
ロッカーの自分の名前の紙を剥がして、少し見つめて、手でぐしゃぐしゃにして、
ラリーは部屋に戻り、室内の自分用の冷蔵庫からシャンパンも一人で栓を抜き、
勢いよく飲みほした。
「今日は最後の日は無性に祝いたいのに、内戦下ってのはさみしいもんだ」
明日、基地を立つ。その日ラリーは、写真を丁寧にまとめると、思い出を振り返っていた。
ベッドに横たわりながら、枕をして、空軍の若い、いろいろな写真を見ていた。
明日、基地を立つ。それからラリーは作業室からニスの入った缶を手で運んできて、
一人で格納庫に行き、内戦を共に戦った機体にニスをかけ、丁寧に拭いていた。
「こいつともさよならしないといけないのか。長くいい友達でいてくれてありがとう。
最後の夜なのに仲間は、他の事で手が空いていない。ついていないな・・・」
ラリーは夜は、何時間も自分のSu27を綺麗に拭く。
「さぁ。お前も新しい人間を乗せることになるだろう。このラリー・フォルクとともに、
内戦下を飛んでだいぶんになるな。お前とも思い出がたくさんある。お前と最初にあった頃は
まだ若かったよな」と呟いた。
退役の日は、ラリーは部屋の荷物をアタッシュケースに無理やり詰め込んで、
重い茶色のアタッシュケースを持って、基地の入り口を後にする。
数人の出迎えと数は少なかった。
その中にバートレットの姿もあった。
「退役してもずっと友人でいたい」とバートレットは言う。
そのまま、バートレット達と入り口長話をした。
「じゃあ、寂しくなるなラリー」
「いや。気にする事はないよ。やっと荷が降りた気持ちだ」とラリー。
そう言って、ラリーが出たのを確認すると、長くいた基地の鉄の入り口は閉まった。
ラリーはアタッシュケースを持って基地を一度眺めるとそのまま駅に向かって歩いていった。