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内戦の少女は、絵を描いていた。
キャンバスにコバルトブルーで空の絵をキャンバスに描いていた。
いつしか少女の部屋は青い空の絵でいっぱいになっていた。
ティムは、自分のアルバムに、
戦闘機の上空から撮影した写真を載せていた。
ティムのアルバムには、内戦の思い出がつまっている。
戦争の取材した、反政府の戦闘機乗りたちの思い出の写真。
戦争での様々な人々の写真。
ティムのアルバムは思い出に満ちている。
破壊された、町で勝利して思い出に撮った兵士達の写真。
それをティムは1枚、1枚めくっていく。
あの老人とも撮った写真もある。
自分の記事は好評でたくさんのティムに送られてきた手紙も
集めていた。戦争で傷ついた人も多くいて、
いろいろな意見も多い。
手紙を読む・・・少年や夫を亡くした人間。ベルカからも寄せられた手紙もある。
その手紙をゴムでとめて、台所の棚の引き出しにしまった。
町で万引きをしたとして、少年は捕まっていた。
「ああ金は俺が払うよ」
その少年が絡まれたのを、助けてくれたのはベルカ軍の兵士の男だった。
「ベルカ人になんて助けてほしくない」そう言っていた少年も夜が更けるにつれ、少年に男は温かい飲み物をおごり、
町の近くの公園で話をしていた。
「身寄りはいないのか?」男は彼に尋ねた。
「戦争で死んだ」短く少年はそう言った。
「ベルカ人は嫌いだ」
「そうか」短く男は答えた。そう言った後、
「軍で働かないか?仕事はやるよ。ベルカ人が嫌いなら、軍人じゃなく、清掃の仕事ならいい。家は君一人か?」
「身寄りはないから・・・」小さい声で少年は答えた。
「貴方は?」少年は尋ねた。
「空軍の兵士だ」そう言って、
男はポケットから、軍の名刺を取り出すと、電話番号をペンでそれに書いて、男の子に差し出した。
ここに電話しなさい。住む所と仕事をあげるよ。
そう言うと、「そろそろ悪い」とだけ言って、男はその場を離れた。
名前は載っていなかったが名刺にベルカ特殊黄色中隊、番号13とだけ書かれてあった。