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ニートベルト逮捕の知らせは、ティムには届かなかった。
それは、何日も不通で、仲間の一人が電信が見つからないよう、反政府の電信に変えておいたからだった。
ティムは、ラリーから届いた、コピーを丁寧に切り取り、重要な箇所だけまとめておいた。
町に爆撃の警報が走る。
ピいんと張り詰めた意識の中、爆風の中、建物が壊れていく。ティムは身をかがめながら、町を移動していた。
「そこは危険だ」仲間の誰かが言う。誰が言ったのかは解らなかった。
爆撃が終わったら、早くこの町を離れないと・・・。ティムはそう思っていた。
爆撃は、数十分も続いただろうか・・・。爆撃が激しい地区を自転車で平気で駆け抜けている人間もいる。
やがて、爆撃が終わり、多くの人が、町の修復を町の人々が手伝っていた。
瓦礫の中、壊れた建物を忙しく復旧している。水道管が破裂して、町に水が行かなくなっている。
壊れた水道管から水が吹き出ていて、大きな水たまりを作っている。
そこの水が少し汚くて飲めないので、多くの女性達が、近くの川に水をくみに行っていた。
銃を片手に男達が先導する中、
そんな中、水をくみにいく少女達が、冗談ではしゃぐ笑顔を見せていた。
ティムは、その姿を自分のカメラで1つ1つ写真に収めていた。
戦争も一線は終わりつつある。
ティムは、戦場での写真を多くカメラに収めていたが、内戦下の少女達のたくましく生きる姿や、
戦場でのパイロット達の写真を多く収めていた。
やがて、写真は自分の持っているアルバムには入りきれていないほどに増えた。
戦場での兵士達 市民の姿 沢山だ。
ティムは、家の書斎でその写真のアルバムに何時、何処で撮ったか、ペンで記録していった。
少しの後、ペンのインクが切れ、別のペンを探そうとしたが見つからない。
ペンを入れている引き出しを探していたが、中々、見つけることは出来ず、
思い切って、引き出しごと机から外して、机に引き出しの中身をばらまいた。
そして、別のペンを見つけた。
そのペンを触りながら、考える。ティムは、ニートベルトが送ってくれた、書類のコピー
を眺めながら、コピーでくれた数枚を持って、次の日に新聞社に行った。
編集の上司にティムは、コピーを見せた。
上司はコピーを見て、
「どうゆう事だ」と呟いた。
「説明します」とティムは言い、
用意していた、多くのコピーを見せた。「これは、僕のベルカの友人が教えてくれた物です」
学校の職員室のような室内でティムは言った。
上司は、そのコピーに目を通すと、静かに言った。
「何が言いたいのかな」
「友人に危険が及ぶとゆう事です」ティムは少し、言葉を濁したが、「今、そんな事を言っている場合ではない事は解るね・・・。内戦の危機で君も1流の新聞記者なら解る事だろう。これは、内戦とゆう物の犠牲は仕方ないのは解るね」上司は繰り返し言った。ティムは、少し沈黙した後、
「では次の記事を僕に任せてはくれませんか?この資料を公開したい」
上司は状況を理解したか、口を開いた。
「新聞社は決して大きいものでもないし、反政府といっても、最後に睨まれる可能性もあるんだが、
つまりだよ・・・君の言いたい事は、詳しく言うと?」
「ベルカは、この内戦を侵攻と考えています。どっちにしろベルカと戦わなくてはいけない。
今、この内戦もベルカ国内も形だけの戦争になりつつある、今をおいて他に機会はない」
「だが・・・」
「ウスティオは勝ちます。反政府は勝ちます。
ベルカは侵攻です。まちがいなく。波紋を呼ぶ事は解っています。でも書かせてください」
「私もウスティオの一人だ。構わないよ。好きにするといい」と上司は言った。