03
ティムと反政府軍がディレクタスに入ったのは、早朝の事だった。
ティムは、青空の下、ディレクタスの幾重もの高架線を見つめていた。
野良犬が、ティムの片手で食べているパンと蜂蜜を欲しがっていたので、一切れくれてやった。
ベルカとともの政府軍の反撃は凄く、反政府軍を押し返している。
ディレクタスを何としても奪還する構えで、第12師団等多くの政府軍の陸軍がディレクタスの奪還に
目前に迫っていた。ティムは従軍記者でありながら、銃を持ち戦いに望む。
ベルカ陸軍のスピルー将軍率いる軍と政府軍の連合軍はアルバディア高原を越えて、
迫りつつあった。
反政府軍は塹壕を市街戦に備えて、迷路のように張り巡らし、政府軍を今か今かと待ち構えていた。
ティムはその日は、えらくお腹がすいて、3人分の食事を一人で平らげた。
その後、ティムと知り合いとなった、兵士達と戦いの前夜の兵舎で、遅くまで、話していた。
2段ベッドの上でティムは語る。
「貴方何処から参加したんですか?」青年兵の一人は言う。歳は25くらいか、
ティムとあまり変わらない。
「生まれは、イノバの近くの田舎町だ」ティムは言う。
「敵は大群だな、市街戦になるだろうが」
「だろうな」ティムはミネラルウォーターを飲みながら言った。
「俺たち、反政府軍の本当の力が試される戦いだな」
「トランプでもしないか?」兵士は言う。
「嫌、今日は早く休みたいんだ」何時になく神経がピリピリしていたティムは誘いを断った。
兵士の一人が言った。
「この戦いは勝たないと、俺たちは本当の正義と認められないとはな、
不公平なもんだ」兵士の一人が言う。
「君は愛国者だよ」ティムは言った。
「愛国者と言っても国にために戦ってるんじゃない」
「その精神が、愛国者だよ」と言って、ティムは言う。
そしてティムは、戦いの前夜の青年兵の横顔をカメラに収めた。迫る戦車を双眼鏡で確認すると、反政府軍の被るニット帽をつけて、兵士の一人は無線で本部に連絡を入れる。
ティムは建物の中で、敵が来たのを察知し、手の銃のAKを握り締めた。
迫る戦車部隊を見ようと、双眼鏡を仲間の一人が無理やり奪い取って見ていた。
建物の屋上は高射砲が備えられ、地雷を市街地の周りにかためる。
敵が来たのを察知し兵士達が手招きをしている。
そのうちベルカの戦車隊がディレクタスに迫った。
その戦車隊を市街地に入る1つの道の所で、反政府軍の建物の屋上の高射長距離砲が、
あらゆる所から、ベルカの戦車部隊に、嵐の豪雨のごとく400ミリ砲の集中砲火を浴びせた。
ティムは市街地の道を横切り、戦車体に迫った後、
砲弾の飛び交う中、
ティムは、火炎瓶を戦車のキャタピラにはめ込み、爆発させた。
多くの反政府軍が、突撃を開始した。
その後、ティムは建物に行き、スナイパーライフルを片手の狙撃兵と合流する。
「弾だ、弾をはやくよこせ」
狙撃兵の近くで機関銃を放っている兵士がティムに言う。
「今、やってる」必死にティムは言った。
弾を補充した後、戦車隊の砲撃により、ティムの建物の屋根に衝撃がはしり、衝撃とともに建物の天井が揺らぐ。
兵士達が多く砲撃を受ける中。
ティムの放つ弾は戦車にはねかえされていく。
戦車隊は、ひるむ事なく進撃をつずける