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ティムは丘に向かい、町を見渡した。
廃墟が広がり列を作っている。ティムはその足で町の保険局に向かった。
その後、廃墟になっている町をうろついた。
ティムが自転車で角を通りすぎていく、少年を見かける。
少年は瓦礫を肩に吊っていて運んでいた。
少年が通りすぎると、ティムの事を遠くからじっと見ていた男が、異変に気ずき、
大声を数人と一緒にティムに向かって張り上げた。
「おいそこの人、上が崩れるぞ」
ティムは上を見上げると、黙って走った。
そうする内、上の大きな建物の一部がまるで砂城が崩れるかのように、ぱらぱらと建物の破片が崩れてきた。
「危ない」ティムがそう自覚すると、
建物が音をあまり発せず、崩れだした。
数秒後、音もなく建物は崩れ落ち、周りは砂埃に満ちた。
多くの人間が、「あぶない。あぶない」と口々にティムに言った。
ティムは、それから逃れて少し建物がない広場に出ていた。
ティムはそれから、腕時計の時間を確認した。
その日は冬だが、太陽が熱く照っている一日だった。
それからティムは来た道を車で引き返した。
姉妹の妹が、抗議活動を聞きに来ただけで政府軍の爆撃に遭うなんてついてないね。
命がいくつあってもたまった物じゃないと嘆く。反政府軍はこの地域の爆撃については、
情報の認識は軽いようだ。反政府もこんな田舎町が空爆されるとは気にもしてないのだろう。
爆撃も政府軍の見せしめのような物だろう。
妹が泣き止まないので、ティムは、
姉妹を車の後ろの席にのせて仕方ないから家まで送ってあげようと親切をした。
姉妹の妹は泣きじゃくり、ティムを笑わせた。
家族の事をティムは色々と聞いた。ティムも自分の家族の事を話した。
色々と家の場所を聞いて送りとどけていると日も更けてきた。
家の前まできて、姉妹が本当にありがとうとティムに言う。
何か恩返しをしたい。家で夕食をごちそうしたいと姉は言ったが、
食料の値段も上がっているのにいいとティムは言った。それでも貴方がいないと私達は死んでいた。
姉は無理やりにティムを家に招きいれて、豪盛な夕食と温かいスープを振る舞ってくれた。
ティムは腕時計を見ながら、「この腕時計少し壊れているんだ。時間が少し違って。
でもこの時計は子供の頃に母が買ってくれた思い出があってなかなか捨てられない。町へいくといくらでも安い時計が手に入るんだが、この時計のせいでいい時計をつけてたくてね」
それを聞いた姉が帰り際に、「少し待って」と言って、姉は10分程すると家から出てきて、
ティムに、綺麗な金色の腕時計をティムに手渡して、
私がこれは大切にしていた物だけど、貴方にあげると手渡してくれた。
そして「また講演はありますか?」と言った。
「ええ。もう2ヶ月ぐらいしたら自分の町でしようと思う」とティムは言う。
「その時また聞きに行くわ」と姉は言った。
それから貴方に神のご加護がありますよう 戦争が終わるようとティムの事を3回祈った。
その後、別れを告げる。
それから3時間も長い暗い夜道のハイウェイを車を走らせて、元の町へ急いだ。
途中、車を止めて、ティムは呼吸を落ち着かせて、
その間、運転席のハンドルに頭をもたれこんで、大きなため息を吐いた。
「はぁ・・・散々な日だったな・・・。まだ生きてるか?」と自分に言い聞かせた。
その後、アクセルを踏み直し、暗いハイウェイの道をラジオをかけて急いだ。
30分程暗い中、元の町を目指して進む、初めての道で、途中道を間違えながら進んだ。
記憶を頼りに進んでいき、たまにはよくわからない道路でない道に車を乗り上げてわからなくなった
時もあった。
そのたびに、「今日は本当にツイてないな」と小声を漏らした。
そうのこうのする内、夜の1時頃を回ったし、眠くなってきたので、
今日は、明るくなるまで、車の中で休みをとることに決めた。
ライトに道路のウスティオの政府のウスティオの危機に反政府を批判する標識が見え、
近隣の子供がしたことか、
赤いスプレーで斜めの十字でいたずら書きされていた。
ティムはその標識を見て苦笑すると、
近くに泊まる所を探していたが疲れで睡魔が襲い、
スピードを出し、遅い車にいつもより多くのクラクションを鳴らした。それから諦めて、
車をハイウェイの近くに流れている川辺に止めて、自分の運転席をたおして、
5時間だけ睡眠をとった。
起きた頃にはもうすっかり朝で、朝日が立ちこめていた。
ティムは近くの小さな店でココアを注文して、飲んだ後、
その後、時間を確認すると、町に車を走らせた。
ティムは家路に着くと、熱いシャワーを浴びて、体を温めると、
ソファーで1時間程体を休めた。
その後、洗面所にたまっている多くの洗濯物を多く籠に入れると近所のコインランドリーに
小銭を財布から確認して、そのコインランドリーにいった。
誰もおらず、ティムは洗濯物を無理やり放り込むと、小銭を入れて、コインランドリーの椅子にもたれかかった。その後、家に帰ると、アフィが家に訪ねてきた。
この1週間連絡もなく休んで大丈夫なのか心配していたようだ。
アフィに抗議を開いたのを告げて、今日の工場の視察に同行しないか?とティムにもちかけた。
ティムと最近話さなかったアフィは、今週はいろいろあったが、ティムと久々で話題が薄かったせいだろう。二人は一緒に反政府の味方の裏の工場の視察に同意した。
「いいのか?記者が反政府の裏の工場の視察だなんて・・・」政府軍に悟られたくないとゆう理由で初めは拒んだが、「僕にその依頼があったんだが、君もついてこないか?
工場の現状について知ってほしいと工場主からの依頼だよ」
「もっと反政府は現状について勉強しなくてはならない。君にもしってほしい」とアフィは言った。ティムは「わかった」と言い、
「じゃあ、君と工場の視察をするのは何時ごろになる?」と言った。
「しあさってはどうかな?空いている日なら何時でもいいが」とアフィは言う。
「ああ」と短く言い、
「じゃあしあさってでいいよ。待ち合わせは何処にする?」
「エルボン記念広場に午後の3時でどうかな」と言う。
「分かった。それと今日は少し疲れているんだ。今日は帰ってくれ」
アフィは頷いて、そのまま帰っていった。
ティムはその日、棚の日記帳を取り出して、
日記をつけると、そのままいびきを書いて眠ってしまった。
その日の3日後、2階建てのバスに乗ってエルボン記念広場に向かった。
町の中心部にあり、内戦前は、子供達が遊んでだり、ギターを弾いていたり、
とても賑やかだった、エルボン記念広場も内戦中のためか人はほとんど見かけない。
3時頃に遅れてアフィが到着して、
「工場まではここからすぐ近くなんだよ」と言う。
「どんな工場です?」
「兵器工場さ。反政府軍は空爆の被害をおさえるため、
工業地帯に兵器製造を集中せず、隠れて兵器の製造を進ませている。
田舎の方へでも分散して、生産を行っている。
今日は工場主のインタビューを兼ねて、実情を残しておきたい」
「じゃあ、工場まで付いていく。
案内してほしい」とティムは言った。