05
町が見えてきた。
港町のゴシック建築の並ぶ大きな町だ。男は車を走らせた。次第に近づいてきた。街の中に近づいてきた。
街に近づくにつれ、雪かきをしている人が多く目につきだした。
雪がおさまりかけてきた。雪の間はだしていなかったのだろう、雪がやんで魚市場の人が市場の魚をだして、市を出していた。
様々な魚が目につく。活気に満ちていた。車はその通りを抜け、噴水のある所を抜けていく。
少年達が噴水の所で談笑をしているのが目についた。車は中通りを抜けて山の見える所に出た。
そのままベルカのこの町を窓から眺ていた。少年たちが、雪だるまを作ったり、雪投げをしている。
そして、裏通りを抜けて20分ぐらい移動して、寮に到着した。寮は西洋風のもので、築は長いらしい。
寮に到着すると、車から降り、家主の男の家に男が案内してくれた。
家に入ると、男の妻に弟を紹介してくれた。
「よろしく、長旅で疲れたでしょう。」
「ええ、これからよろしくなります。」
妻は言いながら、台所の片付けをしていた。そしてテーブルに案内すると
「何かつくりますわ。」と言った。
「ありがとう、いただきます。」
と弟は言った。
妻は冷蔵庫からにんじんやじゃがいも、鶏肉を取り出した。
「伝統料理とシチューを振るってあげるわ。」と言った。
「僕も手伝います。」
弟は言った。
そのまま妻は冷蔵庫を開けて料理をしてくれている。弟は料理は得意だったので、妻と一緒に料理を作った。
料理を振舞ってくれて、テーブルで談笑した。
弟は、振舞ってくれた、ミルクを飲みながら、ウスティオからなぜベルカの大学を選んだ過程等の話をして、男の家庭の人と話をした。男もウスティオの事については初めて聞くらしく、
シチューや伝統料理やシチューが振る舞われるたび、打ち解けてくると、
次第に、弟の口も軽くなり、兄はウスティオの軍人だとか、家族の話をした。初めてなので機嫌もいいのだろう、男も、ベルカの経済恐慌の話や少しベルカの政治は閉鎖的だなんて話をした。
「ここ数年でベルカも変わった。経済危機により大変だよ。」
男は近くにあった野菜を手に取って、
「よかった時期はこの野菜も20ルートで買えた、それが今は25ルートだ。
仕事の給与も上がらず大変だよ」
なんて話だ、数年前の良かったベルカの政治の事だ。弟は静かに聞いていた。
その後、男は「これが、貴方の部屋の鍵だ」と言って、鍵を吊るしている所から鍵を持ってきた。
部屋は五部屋の中の一つだ。その部屋に入ると、隣人の大学生の一人が声をかけてきた。
「これから世話になるけどよろしく」と言った。
「ウスティオからの人?」
「はい。」
その大学生とはすぐ仲良くなった。
ある日、部屋にいると、その大学生が一緒に飲みに行こうゆう誘いがあり、僕も付き合った。学生の名前はニートベルト。
ベルカの歴史は古い。打ちとけていく。弟はベルカ人がウスティオの人間より教養があり、同じ民族である事を痛感した。
ただ、ベルカは閉鎖的なせいだろう、外国の知識は薄かった。
「極右政党のせいだよ。」ときおりの不満を弟は語る時は多かった。
「ウスティオ人もベルカの血筋を引いている、僕達は同じ民族だ。」弟は言っていた。