04
ティムは列車に揺られながら、窓側の席でうとうとしながらずっと座っていた。
ティムはベルカの大学の入試試験をパスして面接にも合格して、ベルカの大学の入学式に向けて列車でベルカに向かう途中だった。
国境を越え、数時間後、列車は雪の中、駅に着こうとしていた。
国境を通過できる唯一の列車が終点駅のベルカの最後の駅に着こうとしていた。
ティムは雪の中、列車の扉が開くと同時に乗客は出ていく、ティムは1番最後にホームに降りたった。
吐く息は白く、北欧の感じを見せた。
極寒のベルカ。
ホームに帽子を深々とかぶり暑いコートに身を包んだ中年の白髪まじりの男が大声で叫んでいた。
「ウスティオの方はいるかね」
ティムはそれに気ずき、寒さを気にしながら男に大声で声をかけた。
「僕です」
「貴方かね、こんな雪がひどいと伝わりにくくて大変だ」
「何でしょう」
「ベルカに初めてウスティオの生徒がくると聞いたんで、道もわからないだろうから駅まで迎えに来たんだ」
「ありがとう」
ティムは答えた。
「私があなたの寮の管理人なんだ。寮まで送ろうと思ってね」
そう男は言った。
田舎の駅である。
「ここから何分で駅に着きますか?」
「何分?もっとかかるよ。さぁこっちだ」
そう言って自分の黒い車に案内した。
「さぁ早く車の中に来て、こんなに寒いと大変でしょう」
ティムは車の鍵を開けてもらい、車に乗り込んだ。
中に入って、車内で落ち着いて会話をした。
「ありがたい、よろしく」
「ここから、町まで車で2時間はかかる。なにせベルカは広いからね」
そう言って寮の男は車のエンジンをかけた。
そのまま社内で移動する。
道は広大な雪景色が広がる。雪で覆われた景色が延々と続き、細い道が続いている、時折見かける住民が雪かきをしているのが目につく。
「ベルカは初めてかね?独立したのは何年だっけ?」
「子供の頃は記憶にあります、ですが当時の僕もこんな所に来た事はありません」
そのまま車を何時間も走らせた。
ティムは車内の暖房で長旅の疲れか眠ってしまった。
「もうちょっとだよ」
男は横に置いていたウイスキーを時々口に運びながら眠っていたティムの肩を軽くたたいた。
それで目を覚ます。
窓の外は一面の銀世界で、雪も上がり、光の反射で広大な平野が見える。
広大な平野を2匹のトナカイが1匹は草を食べ、もう一匹は走っているのが見えた。
1分道しかない道路を車で走っていると標識が見えた。標識には町の名前が書かれていて、町がもう少しなのを教えてくれる。