03
そのうちティムも成長し、ティムは高校を卒業してから酒場のバイトで生計を立てていた。
母の知り合いが酒場を経営していて、ティムは生活を助けるため、酒場に雇ってもらった。
その酒場は基地に近く多くのウスティオ兵が夜になると酒場にいりびたっていた。ティムは少ない給与の中、酒場の客達が机にティムに置いていくチップで、生計を立てていた。
ティムは酒場の仕事の手伝いやトランペット弾きとして酒場に雇われていた。
多くの軍人がポーカー等をしていて、夕方から夜にかけては、店がウスティオの空軍基地が近いとゆう事で多くの空軍兵士がこの酒場にやってくる。
酒場で店員をしていると、軍人の一人が、
「この中で楽器を演奏できる奴はいるか?」と尋ねた。
店員が、
「いますよ。トランペットなら一人あの坊主ができるんじゃないか、何の曲がいいですか?」
「なんでもいい。楽しい曲をお願い」
そう言うと酒場の主人はティムを呼んだ。
「演奏お願いね」
「トランペットだけ?」
「ピアノの演奏はない?」
なんてリクエストの声が聞かれる。
それだけ酒場は活気があった。
店長は品物を運んでいるティムに、
「坊主、お前の演奏を聞きたいそうだ」と伝えた。
ティムはよく見える所で、客に、
「何の曲がいい?」と質問をする。
「楽しいやつ」とだけ答える。
演奏をしていると、客の声はいつもティムのトランペットの音をかき消していたが、ティムは自分の演奏のできる曲がなくなり、そのうちに弾ける曲がなくなり、客の一人にティムが、
「弾ける曲はこれだけなんです」と告げた。
「じゃあ初めからもう1度」と言う。
「これで全部か?なんでもいいんだ」酔い気味に答える。
「後、できる曲か・・・。じゃあもう1度はじめから弾きなおします」
「じゃあなんでもいいよ」と言う。
「じゃあ」とティムは演奏をはじめた。
最後にウスティオの独立を達成した、ベル将軍の歌手の妻の曲を演奏すると、だんだん静かになり、
演奏が終わると、軍人たちは「ベルの嫁さんの曲だな。いい曲だ」
「この曲は僕も大好きです」
「ベル万歳、ベルの時代はよかったなぁ。昔は」と口々に言った。
演奏を終えると、拍手がまきおこった。
ティムは若いながらもその日は客が進めてくれた酒を飲んで少し酔い気味だった。
次の日に、これからの事について話があった。先生もこれからの展望について話があった。先生に呼ばれて職員室の個室に招かれた。
「これからの進路についてですが」
二人が椅子に座った後、少しの沈黙の後、
「で、どうするんだ」
「兄が軍に所属しているのは知っておられるでしょう」
僕はどうすべきか考えている最中なんです。
「大学にいきたい。もしだめなら軍に入るつもりです。自分でも軍の厳しい毎日に耐えられるかどうか心配ですが」
「それは、君の自由だが、個人的には学問のほうが君に向いている」
「兄にも言われました」
先生は沈黙の後、
「君の成績は優秀だから私がベルカの大学に推薦状を書いてあげよう」
「どうしてベルカなのですか?」
「ウスティオはベルカの統治下から独立してまだ浅い、大学の教育水準も低い、ベルカの大学は優秀だ」
ティムは沈黙の中、
「ベルカの大学か・・・」
「どうなんだ?」
「わかりました。考えます」
「ベルカの伝統的学問をウスティオにもたらしては」
「たしかに伝統ある優れた国です。でも極右政党の支配のある強国だ、ベルカ思想は受け入れがたい、考えます」
「まぁ今は合格からかな」
恩師はそう答える。
その後、恩師と別れた。
その日の酒場の閉店の時間に従業員が帰っていく中、酒場のゴミを出しているとたくさんの野良猫が寄ってきている。最初はティムはゴミの中からパンをちぎって餌をやっていたが、店の主人が猫に機嫌を悪くしたので、
ティムは猫を追い払うと、ベルカがどんな土地か考えた。
「ベルカの大学に行くんだってな」店のオーナーがティムに声をかけた。
「まだ、話は決まったばかりです。推薦状を書いてくれるって言うから、
受験なしでも入れるみたいだから。それと・・・」
「何?]
「母に連絡を」
その後、ティムは店の電話機で実家に連絡をいれる。
「母さん?」
電話機越しに声が響く。
「母さん、先生が、ベルカの大学に推薦状を書いてくれるみたいなんだ。
それなら大学に行ける」
母は大学のお金の話より、ティムのこれからの事についてよく聞いてきた。
長話の後、電話を切る。
「やっと僕も大学に行ける・・・」
電話機をおろして、一息つく。
ティムは嬉しかった。店の主人に
「ウイスキーありますか?」
「ある」
「家に何本か持って帰りたい。未成年が飲めるの大変な量くらい今日はほしい」
ティムは言った。