27
ベルカの参戦で、政府軍と互角に渡り合っていた、反政府軍の戦局は一気に変わった。
多くのカモメが大空から舞い降りてきて、灯台の所に止まった。
その瞳は海岸を見つめていた。
バーベキューを終えたラリーは、製氷庫の隣の格納庫の自分の機体の整備をしている、
整備兵に声をかける。
「やあ、調子はどうだ?」味気じみに答える。
整備兵は言う。
「まあ整備は順超だ、もう少しで出撃できる。ガソリンがこの2日供給が止まっていて大変だ」
ラリーは、格納庫の自分の機体の青いSu27をまじまじと見つめていた。
「いつになったら飛べる?」
「後後日には整備は終わると思う」
「そうか」と、ラリーは言う。
バートレットは、
「そろそろ本格的なベルカの味方が期待できるなと言った」
「私達の正義は、本当の正義なのでしょうか?弟はそれに疑問を感じ、反政府に参加している。
本当に私はこれでいいのでしょうか?」
「分かっているさ、軍人も政治には勝てない」
バートレットは、飲みかけのミルクを飲み干しながら言った。
「私はウスティオのために命を捧げる覚悟でいます。軍人だから。でも本当にそれが自分の
中で、それが、いい人生なんでしょうか?」
「軍人なんて結局は政治の道具さ、道はねえよ」
「ディレクタスは、政府軍は攻略出来るだろうか?」
「ベルカ陸軍だからな・・・俺は出来ると思うが」
「戦争では弟は無事でいてほしい」
「そうあってほしいな」とバートレット。
ラリーはにこやかな夕日の中、ゆこやかな目つきで空を見つめていた。
「早く飛びたいな・・・」とラリーは小声で言った。
そのまま、室内でバートレット達と遅くまで談笑していた。
ラリーが早く飛びたいと言うと、
「お前の父さんを思い出すよ。俺は軍に入りたての頃の尊敬だった。父親は、空軍のために命をかけたのに、お前は純粋に空が好きなんだな」
「俺の父さんを落とした機体・・・・覚えている。父は僕や友達に基地を案内してくれていた。
その飛行場が戦火に包まれたのは朝ごろだった。父は少ない敵機だな。大規模な戦闘が目的じゃないなと言葉を交わしていたのを覚えている。俺達を安全な場所の丘に案内すると、
その日は僕の誕生日で僕の頭を撫でて、帰ってくると僕に言い残し、発進したその父の事をよく覚えている。
背後の丘をかすめて追いつ追われつ急上昇していく戦闘機達。逃げる機が炎とともに揺らぎ、
湖に突き出た岬へと落ちていった。父の機体だった・・・。機体の戦果を確認する撃墜者の機体に黄色で13と書かれていたのを俺はけっして忘れない・・・。」
それからラリーは父との思い出を談した。
そして、ラリーにアルコールが入ってきた。
その時ふっと仲間の一人が黄色の13の事を
「すげえな・・・そのパイロット。ラリーの父さんを落とすんだから」
そう言った。その仲間の一言にラリーは少し笑う。
「昔の話だよ。ただ今も父が墜とされた時は鮮明に覚えている・・・。父が死んだのは悲しかった。もう一度あの13に出会えればなぁ・・・」
ラリーは回想した。
「当時、子供だったが、あの光景はまだ頭から離れないよ」
アルコールがまわってきた。
「すまない、酒がまわってきた」
周りは静かになった。
「13ともし戦うような事があれば」
「ベルカを破れるかい」と仲間は言うと、
ラリーは、
「破ってみせるさ」
「ディレクタスには行くのか」」
「今は考えていない」とラリーは言った。続けて、
「今、弟の心配をしている」とラリーに言い。
「弟?」
「ああ。ここ大分、連絡がとれないが、ぜひ会いたいと思っている。
名前はティム・フォルク」
「弟さんと会ったら何を話す?」
「まず、家族の事だ、それから今の実情も知りたい、生活の事とか、
戦争の事は置いといて」
そのまま、夜は過ぎていった。