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ティムが軍の食料貯蔵庫から多めに食料の小麦の袋を多く取ったとして、
反政府軍の兵士の一人が軍の司令部がある、町の広場のテントの司令部に訴えようと連れてきた。
司令部といっても赤い布と鉄板を集めたバラック小屋である。
ティムは最初知らないを通してきたが、伍長の険しい表情を見て、ついに口を割った。
「反政府軍といっても、この部隊は確かに大した部隊じゃないが、今食料に大変我が部隊は
困っている」と言う。
「政府軍により食料の自給がストップしているから、食料に困る恐れがある」
ティムは言う。
「解る限りでも精肉店や市場でも町の食材はありふれています。知り合いに多く食べさそうと
思ったけです。それに軍の人は十分に食料はあるじゃないですか。一般の人間配給と言うのは、
軍が独占していませんか。
「わが軍の部隊は確かに少数だが補給に少し時間がかかるんだ。理解してほしいな」
「十分な補給線がないまま、ディレクタスまで着くのに乗り切ろうなんて賭けもいい所です」
「新聞記者がいちいち軍の方針に口を出すな」伍長が言う。
「ディレクタスに行けば、食材は山程ある。今は寄せ集めの軍団でも、行けば反政府軍に会える」
「ですが・・・」
「それより話がある」と司令官は言った。「何ですか」
「君はベルカの軍の知り合いがいるそうだが、我軍の情報にさせてくれないか?」
「個人的なやりとりですが、なぜ貴方が出てくるのですか」
「無理やりにしても構わないんだぞ」
「僕は、家族の亡命を希望している事、それ以上は困ります」
「そんな事言って勝てるものか」と伍長は銃の布で手入れをしながら視線を銃に向けながら言った。
「ぜひ、君の力を借りたいんだ。軍に友人がいると我々も助かる」と隊長は言った。
ティムは真剣な眼差しに少し困った。
「それは出来ません。個人な事ですから」としっかりと言う。
「その友人は重要な情報源だ。普通に戦って政府軍と互角かと言ってそうでもない
もし君の協力があればこちらもやりやすいし、君の友人は軍に所属しているみたいだし、
大いに助かるんだ。君が反対しても無理やりさせてもらう。
反政府にいる限り、方針にはしたがってもらう」
「僕は今のウスティオの状況や今の現状を打開するために反政府軍に入りました。ニートベルト
は大切な友人です。そんな考えで反政府の味方をしているわけではありません」
「そんな事を出来るのも政府軍に勝ってからの話だろうが!」伍長は声を荒わらげた。
「とにかく干渉しないでいただきたい」そう言って、
ティムは少し顔を険しそうにしながら、無言でテントを後にした。
ホテルへ帰る途中、チーズを買って帰ろうかと食品店に寄ると、老人と出会った。
「反政府軍が勝つのに神様に祈りでも捧げようかな」
「あんたはクリスチャンかい?」
「兄は敬虔なクリスチャンです」とティムはチーズを選びながら言った。
「あんた信仰心はあるかい?」
「いや、僕はそうではありません」
「同じだ。神様が何をしてくれるっていうんだい?」
「色々な人間もいるから、古い神様も大変でしょう」と老人に言うと、老人は少し笑った。
「何とか軍の友人に情報をくれるようにしてもらえんかな。この戦いでもし負けたら
わしは自分の銃で体をぶち抜いて死ぬつもりだよ」と言った。
「僕は友人を裏切るつもりはありません」と答える。
その夜、ホテルのパソコンにニートベルトから情報が転送されてきた。
ベルカが反政府軍に対する戦いをはじめる 上層部の動きを見ていると侵攻の意識もある
君の家族の早めのエルジアへの亡命を進める もし動けば個人的なやりとりも困る と
世界屈指の軍事力を持つベルカが敵に回れば、今の政府軍と互角に善戦している
反政府軍も劣勢に回らざるをえない事になるかもしれない・・・
そう思いながら、ティムは家族の心配をしていた。