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クリスマスの日
バァレー空軍基地はクリスマスイブに浮かれていた。その日はクリスマスだから、
女も基地に招いてバカ騒ぎをしていた。
その日の夜は、ボクシングのウスティオのタイトルマッチがかかっていて、
基地の士官は上官も下官も関係なく、ボクシングのウスティオチャンピオンと挑戦者の
応援と熱気に包まれた。
パンチが入るごとに
「おう、やれやれ」とお酒を片手に皆叫ぶ。
「挑戦者、ダウン。強烈な左ストレートだ」
解説者の声も歓声により聞きづらい。
ラリーはお酒が入ったせいか、上官一人のお気に入りの基地の事務の女に手を出した。
夜は、皆とボクシングに中継で盛り上がっていた同僚に酒をどれだけ飲めるか競争していた。
上官のバートレット大尉が、
「これぐらいも飲めねえのか?お〜いラリーに最高に強いウイスキーを持ってきてやれ」
「もう勘弁してください。負けですよ」とラリー。
「そうは、いかねぇよ。これぐらいも無理なら軍人として根性なしだ、
俺は調子いい時には、60杯は飲むぜ、これは基地のしきたりだ」と、バートレット
「じゃあ飲んでやるよ」と、ラリーは言い、雰囲気で表面上盛り上がってて、
ことわりきれず負けん気で飲みまくった。
その日のラリーは酒が回って、苦手だったバーレットとも思い出話で打ち解けた。
その時、女を気に入ったラリーは無理やり女を連れだし、
基地でセックスをしていた。そんな中、女を巡って、仲間と酒がまわって口論になり、ラリーは喧嘩をはじめた。それを上官に見つかり、基地の監房に閉じ込められた。
「朝までそうしてろ!くそ野郎!」と、ぶちこまれた。
朝になり、ラリーは洗面所がないから、便器に昨日の酒の飲み過ぎで、苦しく
食事と一緒に大量に嘔吐し、もどしていた。
「くそっ、最悪のクリスマスだ・・・」と、そう叫んだ。
その時、同僚の情報班が報告書を持って急ぎ足でラリーの監房まで来て、
ひきつった表情で、
「反政府軍がマスカルーを陥落させたとの事だ」と伝えた。
ラリーは、暗い室内での不安と敵機が迫ってくる衝動にかられ、
監房の閉じたブラインドを一つ自分の手で開くと外の景色を見て思った。
マスカルーが堕ちたとなると、敵はもうすぐそこだな・・・。と