08
それから1年の月日が流れた。
ティムは首都に、ベルカの新聞社の試験を受けに来ていた。
首都は、精肉工場や製糖工場が多く立ち並んでいた。
町の中央の広場には、ベルカ運動の最高の指導者のスハルスキーの像が飾られている。
首都には煙が立ちこめ、工場が多く、ベルカが世界有数の工業国なのを伺わせる。
北ベルカは高地が多く住みにくいが、南ベルカは広い平野と資源に恵まれ、
鉄や石炭の生産が豊富だ。
ベルカは世界有数の大国であり、強大な国である。
工業だけでなく軍事力も世界有数だ。
ティムは試験会場に着き、
「試験会場は何処でしょうか?」
ティムは新聞社の試験会場の係員にそう言うと、
自分の学籍番号を確認した。
受験者の人の数は難関のせいか、まばらであった。
「ここの所を左に行って、そのまま真っすぐに行けば突き当りにあります」
「分かりました。ありがとう」とティムは、大体で自分の中で確認すると係員の元を離れた。
試験会場は、その人の教えどうりで向かうと、解る位置にあった。
会場は歳の様々な人が受験しに来ていた。試験時間まで、受験者達が参考書をめくっている。
時間が来て学籍番号の机を見つけて、そこに座り、
試験時間が始まるまでの間、試験の勉強のため自分も参考書をめくる。
他の受験者も黙々と時間まで筆記用具の確認などをしている。
そんな中、その日の新聞社の試験を終えた。
試験後、3ヶ月が経ち、
降り始めた雨が雪に変わり、町の道路は消雪パイプでの除雪作業が進む朝。
その日は、いつもより肌寒く、その日は、ストーブをかけて、
毛布で包まっていたティムは、辛そうに、厚着のコートを着て手袋をはめた。
いつものように炭鉱の仕事に行くためである。
2階建のマンションの2階の右端にある、自分の部屋を出て、
マンションの赤褐色の鉄でできている外側の階段を降りようとしたが、
階段を降りる前に、自分の部屋の郵便受けに通知が入っているのを見つけた。
それを持って寒さのため1度部屋に戻り、
机に置いていた朝食のじゃがいもの煮物とビスケットをかじりながら、
中身を確かめようとした。
新聞社からである。
封を開け開いてみると、新聞社は採用の通知だった。
ティムはその通知を見て、はたからは分かるくらいの微笑する。
「やった」
そのうち雪は上がって、町の人達の話し声や雑踏が聞こえてきて、
ティムは大切に合格通知を大事に引き出しにしまった。
その日の夕方、
財布から、お金の30ギルを取り出すと、
店にお酒を買いに行った。
雪道を渡り、消雪パイプで水で道路が綺麗になり、いつもの食品店に向かった。
店は缶詰やお酒が多く置いている。
「新聞社に受かった祝いを自分でしよう」
ティムはお酒の中で1番アルコールの強いウイスキーを選ぶと、それを買い物かごに入れた。
会計に力強くウイスキーを置くと、
店の旦那さんが「新聞社の試験どうだった?」と聞かれた。
「合格だった」ティムは短く、嬉しそうに言った。ティムはその旦那と嬉しかったから、合格の知らせを長話で自慢していた。
自分がウスティオ人なのをベルカ国籍も取った後ずっと内緒にしてきたからだろう。
旦那が「新聞社なんていいな。俺はこの店の経営を30年やってきたが、凄いな」
「ありがとう」そう言いながら、ティムの心は理想に燃えていた。
その反面、現実の壁もまだ理解できてない、若造だ。不安もあった。
ウイスキーの代金を自分の食事代を机に置くと、店を出た。