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今日は、精霊祭だ、別名、セントエルモの火祭りで長いから精霊祭の名前でみんな呼んでいる。
町の数年前までは、汚染された川だったが、今は綺麗な川となり、命名され夜の川に幾つもの灯籠が流される。
「いい夜だな」僕はそう思いながら、美しい灯籠を夜自転車に乗って見に行った。風一つない夜で少し寒いが本当に過ごしやすいいい夜だった。最近仕事以外やる事もないので見に行くのはいい時間潰しだ。
年に一度の神聖な夜だから、いい夜になってほしい。そんな願いどうりの夜。
行った頃、見物客の人だかりで一杯だった。この流される灯籠を上流から見ようと、自転車を走らせた、上流につくとそのまま川沿いから川を辿ってみようとゆう心境になり、川沿いに自転車を走らせる。虫の声も聞こえる・・・。川沿いは見物人が多かった。
流される数々の灯籠はとても美しく、灯籠の火がはかなくとも美しい姿を見せそれが沢山流されていて、その美しさはまるで銀河系を彷彿とさせる。そんな中、結衣からの電話
「来てるの、一緒に見よう」
「今、僕も見に来ているよ」
「今、何処」
場所を説明して時間が合えば、一緒に見よう。
自転車で行ける距離。自転車を走らす。川の辺りは、せわしい町並みと離れて落ち着いていた。
川の下流で結衣を見つけた。
「一人なんだ」
「いい夜じゃない」
「綺麗ね」結衣は呟く。
「セントエルモの火祭りってどうゆう意味?」
「セントエルモの火は船乗りの守護聖人、聖エルモに由来するんだ。カエサルのアフリカ戦記、大プリニウスの博物誌、メルビルの白鯨とかに登場するんだ。大プリニウスによれば、古典期のギリシアでは、発光が一つの場合ヘレナ2つの場合、カストルとポルックスと呼ばれたんだ。アルゴー船の神話によると同船に乗り込んでいたカストルとポルックスの頭上に光が灯ったところ嵐が静まったので、この2人は航海の
守護神とあがめられ、船乗りの間ではセントエルモの火2つ出現すると嵐が収まると信じられたと言うんだ。」
「へぇ」そう言いながら、結衣は灯籠を見ていた。
「人間は進歩のために火を昔から使いここまで強くなった。それを今、自然を讃えたいとそう願って作られた。僕もそう思うんだ。」
「本当に今日はいい夜だね」結衣はそう呟いた。
「これ見終わるとどうするの?もし、暇なら一緒に食事でもしよう、日頃の不満とか、僕は腐るほどあるから」
「わかった、話相手になるよ」
久しぶりに楽しかった。