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高校を卒業して結衣は子供のためにすぐ結婚した。
結婚相手は歯科医。
そんなある日、一度、体を休めて留守番電話のメッセージを再生してみた。
「ゆうじだけど電話下さい」
ゆうじとは高校時代からの知り合いだ。警察ではない。建築士の仕事をしている。仲とゆうより、昔からの長い付き合い。
僕は疲れた体で家路に着いた。大雨が僕の意識を集中させていた。
使い古しの冷蔵庫から、オレンジジュースを取り出し一気に飲んだ。濡れた衣服を洗濯かごに投げ込み、服を着替えた後、部屋の椅子に体をもたれかけた。僕は呼吸を落ち着かせ、目を一瞬つむった。その後、携帯やポケットの中身をテーブルに出して置いた後、今日はせわせわした一日で思い出すのに時間がかかったが、ゆうじに電話をかける。僕は留守電にの話か聞きたいとメッセージを残した。7時をまわり闇が街を覆ってきた。雨は止む様子はなく、町を包む。その勢いは止まりそうになかった。
1時間過ぎる頃、彼の方から電話がかかってきた。
「何の話?」
「高校時代の知り合いの子から折り入って話があるみたいだ」
「というと?」
「知り合いで結衣ってゆう知り合いがいるだろ」
「ああ美人で有名な結衣さん?ゆうじとは仲いいな、有名人じゃないか」
「結衣さんからお願いがある。今は実を言うとどうゆう事か教えてくれない。なかなか言いづらい話のようだ。ぜひ会いたいみたい」
「構わないけど」
「日曜でどうだ、2人だけでも構わないだろうが、大した知り合いでもないだろ。俺がいるだろ」
何だろうな、自分も考える。
「何かな?」
「合えばわかるさ」
「分かった」と僕は答えた。
日曜も雨。ワイパーで雨をかき分けても視界は悪い、この3日間連続で雨らしい。凄い大雨だと思いつつ待ち合わせの喫茶店に向かった。
繁華街に囲まれていて、目立たない店。
リンリンと店に入ると呼び鈴が鳴り、店内はうっすらとしていた。暗めの明かりが灯り、
「いらっしゃい」と店長がカウンター席から声をかけた。
店には奥行きがあり、落ち着ける雰囲気だ。窓はそんなになく、カウンターでミルクを温める湯気が立ち上っていた。カウンター席の周りはガラスで仕切られた椅子と机が並んでいて、店内は広い。暗めの落ち着く、昔ながらの灯油ランプの外観の明かりの店内は、日曜のせいか、多くの客が談笑していた。そこのカウンター席でなく、少し離れたガラスで少し仕切られた、飲食店だと何処にでもある構造のテーブルを挟んで迎え合わせの構造の所にゆうじはいた。その5分後、目鼻立ちの綺麗な同じ18過ぎの雨なのに自分の顔を隠しているようにサングラスをかけた女性が来た。椅子に座りサングラスをとった。結衣だった。
「とにかく相談に乗ってやってほしい」
「どうゆう相談ですか?」と唐突に聞いた。
「高校時代から久し振りです」
「いい歳になりましたね」
思い出は高校時代の文化祭で僕がバスケットケースを弾き、結衣がフィガロの結婚を結衣さんが弾いたのを覚えている。
高校時代のアイドル、そんな感じだった。
「警察官だと聞きました、それで差し支えなければ夫の浮気調査をしてください」
「浮気調査?」
「探偵まで雇って調べるのに抵抗があって、夫に最近そんな感じを受けました。仕事の邪魔になければお願いします。で、引き受けてくれますか?」
高校時代の超美人なのに、そんな年頃かな。ふっと僕は思った。少し笑った。
「警察の貴方ならお願い、お金は払います。」と。
僕は注文した、コーヒーを少し飲み、「別に断る理由もないけれどもな・・・」と言う。
結衣は真剣だ。僕はその後、コーヒーを一気に飲み、
「分かりました」と一言だけ答えた。