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唯一の肉親の母が倒れてからは、実家で細々とやっていた。
親の面倒を見ながら生活を送っていた。
僕は仕事帰りに、厨房を片付けた。その夜は一人の寂しさから酒を飲んでいた。
酒を飲むながら、ぼうっとしていた。疲れたな・・・。僕はそう思う。
毎日、公園の近くの喫茶で、飲み物を飲み、景色をぼうっと見ている生活が何ヶ月も続いた。
そんな中、霧の残る静かな朝に僕はいた。日曜日である。
僕は自分で家事をこなし、台所椅子にもたれた。朝は静かだった。
僕は椅子にもたれ、物思いにふけっていると、玄関の靴置き場の自分が子供の頃買ってくれた一度も壊れた事のない鳩時計がチクチクと時間をきずむ音が聞こえた。
朝は静寂に包まれていた。
その音は自分い安堵感を教えてくれた。
僕はその音に合わせて指でリズムを刻んだ。
静寂と鳩時計が刻む中、僕は外出しようとして、家を出た。
階段を降りて行くと声が聞こえた。
「ひさしぶり」といった声だった。
僕はそちらに顔をやった。
結衣だった。
まさか都会からこんな地元まで来てくれないとは思っていた。
少し、戸惑った。
「ひさしぶり、会いたくなって来ちゃった。」
「へぇ、久々。」
少し戸惑いとも混じって不機嫌そうに僕は答えた。
「自分自身、気持ちの整理がこの半年つかなかった.]
[俺もだ、だんだんこの生活にも慣れてきたよ。」
「少し歩かない。」
「近くで買い物しようとしていたんだ。いくよ。」
「頑張っているのね。」
「結衣もこんな遠くまで。僕自身もう会えないかと思ってた。」
「貴方のラジオ番組ありがとう。」
僕は少し笑った。
「気持ちが届けばそれでいい。」
「仕事大変?」
「ここの警察署の仕事も大変だ、ただ僕は今の人生落ち着けばそれでいい。ただ、たまに少し寂しくなる。」
「いきなり実家にかえるなんて。」
「その時は?」
「戸惑った、その時は。」その後カナは言う。
「私、冷たい女で有名。とにかく会いたかった。
私、力になれるならなるのに。」
「バカだなぁ結衣も。」
「やり直さない2人で。」
「僕は気持ちを全部受け止めたい。結衣の全部を。」
僕は少し笑顔を見せた。
「好きだから。それ以上の関係になりたい。ここに住もうと私も思う」と結衣は言言った。
僕と結衣は笑顔で抱き合った。
朝やけの光が雲の切れ間から立ち込み、美しい世界をかもしだしていた。