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警察署の室内の時計がチクチクと鳴っていた。
「署長がお話があるそうです」と、係の者
「はい」
「すぐに来るようにと」
僕は頷いた。
署長は、他の関係者含めて呼び出した。
署長は、机の長椅子に座り、眼鏡を外しながら言った。
「まず、本件については分かるだろう」
「はい」
「その事だが、捜査は順調に行っていたのだが、君の暴行事件がネットで波紋を呼んでいるんだ。捜査どころではなくなるぞ。色々と言う人間もいるだろうから、そうなると私も歳だ、部下の尻拭きはごめんだ。」
「どうゆう事ですか」一人が応える。
さえぎり「まぁわかります。それは、本当に。」
「要するに君も社会勉強が足りないな」と言い、デスクのタバコ入れの一つから、タバコと取り出し答える。
「君と君はもういい」と署長は言った。
「失礼します」2人は帰る。
僕と署長の2人になった。
「芸能人の娘の知り合いだそうだね。問題なのは社会関係の情報を警察でされては困るとゆう事なんだ。
さすがに私も若い頃は正義感に燃え優秀だったがね。世の中には超えれない物もある物なんだよ。勝負とゆう物は勝てればいい物だが、負ければ・・・分かるだろうね。」
「僕がですか」
「君のこれからだが、ごまかし切れる程甘くはない。納得のいかない連中もいるだろうから。」
「はい」僕は短く答えた。
「捜査の一任をしてくれたのだから、今回は僕一人の責任とゆう事ですから。僕の辞職で物事が収まるのなら。」
「理解してくれるかな。私の立場を。」
「わかりました。」
僕は、そのまま退出しようとしたのを署長が呼び止めた。
「で、これからどうするんだ?」
「ゆっくり考えたいと思います。」と、僕は言った。
僕へのネットでの誹謗中傷は続いた。
結衣の薬物疑惑はわからなかった。それは救い。
実名で載せられ、仕事も無くなっていく。
結衣が芸能人を辞め、更生施設に入院したのはそれから間もなくの事だった。
寒さの震える中、季節は冬を迎えていた。
そんな中、僕は部屋の、ベットの天井を見上げていた。
警察を辞めることになるかもしれないとは、結衣やよしはるに伝えていた。
そんな中、家の整理をし終わった後、荷物を引っ越し業者に頼み、少し肌寒い中、毎日を過ごしていた。
そんなこんなで、時刻は8時を回っていた。
携帯にメールが届いた。結衣からだった。
今日はベテルギウス大祭だよね 結衣
今の俺は結衣に出来る事はできるだけしたい 僕
雪が綺麗 結衣
ああ 僕
私がいなくなれば、貴方も警察を辞めなくて済んだ。私、疲れた。
今日をもって私はこの世からいなくなります。ありがとう 結衣
僕は更生施設に電話をかける。電話には、時間外か出ない。
僕は不安にかられる。
何度も今何処なんだと、メールを送る。
返信はなかった。
僕は車に乗り込み、エンジンをかけた。
何かおかしい。もしかして。
そのまま、暗い中、厚生施設へ向かう。
雪が降ってきた。大雪だ、道路の雪模様も30分で変わってくる。
結衣は更生施設の屋上にいた。
そのうち、冬の雪が降り始め、美しい色どりになりはじめた。
結衣は屋上でぼうっとしながら、人気のあった頃の楽しい思い出を振り返り、一人でふざけた。
その後、襲ってきたのは、激しい孤独感だった。
結衣はそれから、翼をくださいを一人で歌った。
町はベテルギウス大祭に湧いていた。
花火が打ち上げられ、午後12時を過ぎても祭りのにぎかさで町は光に照らされていた。
人混みが溢れていた。
人混みの波をかき分け、僕は施設の屋上に一人立つ結衣を見つけた。
大声で怒鳴った。
「結衣、君を僕は失いたくない!今の君の心を塞ぐ物はなんだ!済んだことだ。
今、立ち直らないと何時頑張る。
僕は受け止めてあげる。心の底から。僕は君と出会えた事は本当に素晴らしいと思っている。
終わらせないでくれ。みんなで一緒にやり直そう。」
「貴方は何も解っていない・・・。」
わざと結衣は無視し、そのまま彼女は更生施設の屋上から飛び降りた。
僕は悲鳴とともに倒れこんだ。
町は、午後12時を過ぎても賑やかで、悲鳴をかき消していた。