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結衣のゆうゆう自適生活は長くは続かなかった。
最近は仕事も減ってきた。よしはるや自分との思い出を思い出し、苦笑した。
ここ最近、子供とともに賢治と同棲していた。
結衣が仕事で手にいれたお金は賢治に貢いでいた。
自分は幸せになれる・・・そう信じていた。
結衣は少し体に流れる寒気を感じ、毛布に包まり、自分の体を抱きしめた。
賢治が帰ると、結衣は電気もつけずに部屋にいた。
「電気ぐらいはつけろよ」賢治は言う。
そう言って、部屋のスイッチを賢治はつける。
結衣の姿が映しだされた。金髪で後遺症でくまだらけの顔、面影は薄れていた。
・・・沈黙は続く・・・
「愛しているの?私の事?」
「ああ。ああ。」賢治は答えた。
賢治にとっては、遊びの女、代わりはいくらでもいた。
売れなくなってきてから賢治は結衣に冷たくなってきた。
クスリのおけげで、性格もおとなしくなっていく。
「貴方がここまでしたんじゃない。責任とってよ」
「馬鹿言うな」
結衣は陶酔しながら、音楽をかける。
「ダンスしたいの」
賢治は笑い、ダンスの仕方を教えてくれた。
その時、結衣はこのままでいいと思った。
そう言って賢治は、
「ごめん。別に好きな女ができたんだ」
それを聞いて、「どうゆう事よ」と賢治に詰め寄る。
「別れようと思う」
「捨てないで」そういうと、賢治を抱きしめようとした。
「ふん。本気だって」
「こんな毎日嫌」自制心が結衣を動かした。結衣は泣きながら、賢治の体に触れた。
賢治はその時、結衣の頬を勢いよく張り飛ばした。
暗い中、結衣はナイフを手にとった。
「殺してやる・・・」
賢治はたじろぐ。
ナイフの手を掴むと、結衣を跳ね除け、
「ばかじゃね〜本気になんてしやがって、付き合いだよ。飽きたんだよ」
結衣はそれを聞くと黙って理解した。
「ごめんなさい。どうかしてるよね」と倒れる。
賢治は笑って言った、
「クスリは渡すから、これまでどうり金は振り込んどいてくれ」賢治は言う。
結衣は「もう貴方とは縁をきりたい」
「へえ〜俺がいないとどうなるんだ。おまえはもう俺のものだ。俺なしじゃ生きられない。クスリも手に入らなくなるぞ、俺が全てなんだよ、お前の」
それを聞くと結衣は声を振り絞って答えた。
「貴方なしでも生きていける!生きてやるわよ!」
結衣は賢治を突き飛ばし、雨の降る夜に出て行った。