新天地を求めて・箱舟
諭は宇宙船に乗り、2年の旅に出かけていた。
惑星、火星を目指す旅である。
人工冬眠装置から目覚めて、
火星が窓から確認できる。自分の顔を鏡で見ると、老けている自分に気ずく。
浴室で地球での思い出の多くの昔の写真を見て、涙を流す。
地球は住みにくくなり、多くの仲間達と火星を求めて旅をしていた。
やっと火星に降りたつ。
テラフォーミング技術の進歩により宇宙の人間の移住可能とよばれる惑星は人間の住める惑星に100年から1000年でテラフォーミングできる事が可能となった。
風が吹き、寒い大地だ。
火星は、長い時間をかけ、地球が何億年もかけて作られた。
国家のない惑星を目指した宇宙開発法による火星テラフォーミング計画が終わり、人間の住める大地になった。
火星のテラフォーミングで諭が課せられた事は火星に大量の酸素と大気を作る事だった。多くを建造して大量の酸素と大気を生み出す。地球で作られた酸素の元となる成分を大量に火星に運び、増やす。その成分により火星に湖ができた。
地球が住みにくくなり、新天地の惑星を求めて早30年。地球の人類は科学力や力学の推移を極めた地球の人類。
今の地球でも国が生れて数千年。その支配や腐敗は相当な物だった。
そのあやまった進歩により、住みにくくなった地球。
その支配から逃れ、新たな星を目指し、仲間達と宇宙に旅立った。
宇宙船の中で、かつての理想もふけて、地球の思い出話も多くなったこの時期。
その火星を求めて今、その大地にいる。
一面に赤い大地が広がる、荒涼とした大地で黒い岩が所々にあり、赤い山が見える。
海は氷で覆われていて、
諭は火星にある、水を少し飲んで、水に含まれる何の成分だろうか?
吐き出しそうだったが口を濁した。
今、諭は誓った。この爺さんもやっと新天地に来ている。
仲間達が地球から運んできた大量の植物の種を積み下ろししている。
諭はビーカーの名前もシールを確認して、この氷と霧の惑星に原生生物を離した。
連れの女性は妊婦で、
今この子はこの星に来て、初めて産まれる子供になろうとしていた・・・。
その子供は火星に生まれる最初の子供として、新しい惑星の住民として優秀な種しかできないよう容姿等も完璧にして作られた子供。
諭は植物の中の苗の一つを火星の赤い土に埋めて、
この土地を地球と違った、人間が追求した、人間の科学に支配されつくした地球と違い、人間の誤った文明と違う、支配のない解放された理想の自然の土地にしようと・・・。
支配の絶頂を迎えた人類。全てを支配し、誤った進歩により、危険化して犯罪や貧困に飢える地球。
「この星はやっと住めるようになってきた。それでも地球と比べて信じられない
赤い土だらけだ。あの時代のなかった地球の思い出が懐かしい・・・」
「そうか?いい星じゃないか。地球と比べて細かい規制も支配とかもないし、堅苦しい人間もいないし、負の文明とゆうものもない。最高だ。
永遠に続いてほしい世界じゃないか。きっと原始時代の地球もこんなに良かったんだろう。理想の世界だ。人間は資源のために植民星とか言っているが、人間の支配のない惑星もこれからに残しておくのもいいものだろうなと実感する」
「先人が戦争までして火星の宇宙開発法を守ったおかげだよ・・・」
と仲間と話し合う。
宇宙で1つしかない地球から人間の住める惑星にテラフォーミングによりできた、
たった一つの星。
その星を守り、
そして人間と違う、国もない、理想の星の暮らしを実現してみようと。
何千年にもわたる支配から解放された。これからは地球と違う、理想のために何年もかけていく。新しい理想の星として。
考え方を子供達に与えようと・・・。今、心に誓った。