終編
ヤマクラの社長の逮捕のニュースは1部には衝撃的だった。
だが結局、思ったより報道では大きくとり上げられなかった。
政人はシステムの犠牲になった人達の事をとり上げてもらおうと
マスコミの人にデータを売っていた。
仕事から帰った政人の携帯に着信があり、
帰宅した政人は夜テレビゲームで遊んでいた雪がお菓子をくわえながらの雪に、
「おい雪、いつまでやってるんだよ」
「ごめんなさ〜い。お父さん」
ふいに出た雪のこの発言に政人は少し嬉しかった。
電話の相手はシステムの被害者の親族の人で、
政人にデータを教えてほしいとゆう事だった。
「被害者の親族のものです。お会いしたいのですが」
政人は会う事を決める。
親族からの人と仲良くなり、多くの親族の方が政人を頼って集まってきた。
親族との交流会で親族が、
「もうヤマクラには黙っておけない」として、
ヤマクラに対して訴えを起こす事が決まった。
親族達からは、
「20世紀はこんな世紀じゃなかった」
「私達被害者はどうなるの」
そんな緊迫した最中、
警察庁から出世した署長からだった。
内容は、
「ヤマクラとひと騒動あったそうじゃないか」
「いえ」
「私も今度定年だが、君の仕事にまた警察の地方の別の課なら仕事があるようだ。
君をもう一度警察に復帰させて、君の人生の警官の仕事は保障する」
「ええぜひ」政人は即答で答えた。
「ただし条件がある」
「とゆうと」
「今度のヤマクラへの訴えを取り下げてほしいのだ。訴えは20世紀を逸脱している」
「返事はまたします」とだけ伝えた。
政人は悩んだ末「僕の訴えは取り下げますから、僕達家族の
人生を保障してください」
と署長に伝えた。
20世紀を逸脱している、勝てる見込みはない・・・。だが雪の事を考え保障された人生を選ぶ政人、
社長がつかまったのだから、これ以上の被害も望んでいない。
よく付けられる人生から安定した人生を選びたい・・・。
だが、今はいいがな
署長が存命中は保障されるだろうが、
最後まで続くだろうか。
「退職まで保証してくれますか」と署長に連絡をいれる。
「なんとかしよう」
署長からの回答だった。
親族の一人が政人の家を訪れた時、
政人は親族に牛鍋をごちそうしながら、データを親族に渡して、
「僕は訴えをしないつもりだ。雪のため、親族達であとはやってください・・・」
「これ以上、僕が関わったとは言わないでほしい」
と言った。
別に警察に戻らなくてもいいだろう
だが雪の身の上を考えての判断。
結局裁判は被害者の親族達だけで争う事となった。
ヤマクラは20世紀保守主義との繋がりも深い会社、
勝てる戦じゃない。
政人はそう思う。
そんな中、雪が政人の事をお父さん〜と毎日言ってきた。
雪のために自分が親になろう・・・正式に・・・。
雪の人生を支えるのは自分しかいない・・・。
市役所の戸籍課に自分が親になる事を正式に決めるために、
雪と訪れた。
戸籍謄本等を集めて、課の職員に窓口で話しかけた。
職員が、
「どうゆう事ですか?」
「この娘の父親になりたいんだ、正式に」
「戸籍の変更とゆう事ですか?」
「そうです」
「この雪さんの親族の方はいらっしゃらないのですか」
「残念ながら、この娘の母は死にましてね。親族もいないんだ。
それで僕が正式なこの娘の父になりたいと思って」
「まってください」
「正式な許可が必要ですが」
「何の」
「20世紀の」
そう言いながら職員は、
「身寄りがないのですか」
「ああ」
「書類に不備がなければ、そこまでは許可がなくても申請しておきましょう」
と言ってくれた。
市役所を出ると政人は雪の手をとり、
「これから正式な家族になれるよ」と言った。
雪は黙ってうなずいた。
その日は青天で空は青々と輝いていた。