04
「今日は少し遅くなった、ごめん」直樹は言う。
彼女は、父を見て、「直樹君と付き合ってま〜す」と言う。
父は無言で厳しい表情で家に入る。
それから彼女と離れた夜に直樹に言う、
「もう破産してお前を育てる事ができん」
「どうゆう事」直樹が言う。
「お母さんの家に行ってくれんか?」
そんな父が病気に倒れたのは6月の事だった。
病院に見舞いに来ていた自分に父は、
「直樹、伝えたい事があるんやが・・・」
そのまま父は他界した。
葬式の日に父の親戚が来ていた。
直樹の心境は複雑だった。
これで父から解放される・・・
親戚のおばさんが直樹に言う、
「直樹君、これからどうするの?」
「考えています・・・」
葬式も終わり、冷蔵庫から食事を済ませて、家庭裁判所に連絡をいれる。
「僕の肉親の父が病気で死にました。僕はどうすればいいですか?」
「君、何歳?」
「15です」
「親戚に知り合いとかいないの?」
「いや、母はいますが、同じ籍でない」
「じゃあ家庭裁判所が育てられるか連絡をいれます」
「お願いします」
家庭裁判所のおかげで、母の住所がわかり、そこへ向かう。
あまりにもヒドイ父だ・・・金がなくなったら出ていけかよ・・・。
散々俺を虐待しておいて、母の所へ行けって、もし断れたらどうなる・・・。
でも破産している父の所では食事もままならない。食事の作り方も知らない父だ、
成長期だってゆうのに、栄養もとれない、栄養失調気味の体だし、
母に断られたら、自分はどうなる・・・。この歳でここまで考えないといけないのか・・・。他の家庭が羨ましい。
皆、あたりまえで幸せを掴めている。
自分だけその当たり前がない。
生きるって大変だな・・・
この歳でそう思っているのも自分だけかな・・・。
そう自分は思う。