墓地
夜、住所は厳重にロックされた大きなドームだった。
立ち入り禁止区域
に墓地はなっていて、墓地は厳重な警備システムに守られていた。
「面会は親族以外許されていない」とシステムが言う。
政人は警察手帳を見せて捜査なのを説明した。
システムは、
「捜査であろうとも許可が必要なはずだ」と言う。
「高度なシステムに守られているようだ」
山下はシステムの忠告は聞かず、カードを指してシステムを黙らせ、墓地の入り口を開く。
ドームの中は静寂に包まれていた。
「ここに埋葬されているはずの人間にシステムに携わった奴がいるらしい」
二人は中央にある巨大な機械で足を止めると、
「誰だ」
と機械から声が響く。
山田拓斗、システムの開発に携わった最後の一人だ。
彼は心臓をペースメーカにして体を人工冬眠状態にしていて、
臓器を定期的にIPS細胞で交換して、いまだ命を保っていた。
臓器は水で温度管理され、一部の臓器には防腐剤がかけられていた。
二人はカードを差し込み、彼に話しかけた。
「ああ。私を眠りから覚ますのは誰だ?」
「彼女の事は知っていますか?」
「ああ私は70年前、彼女にシステムの最初のAIプログラムの1部の組織を移植した・・・。まだ彼女が若かった頃だ」
「その情報は本当ですか」
「そのAIプログラムはヤマクラのせいで意識的に彼女の脳を支配し暴走をはじめた。彼女が現実に戻れなくなるぞとゆう議論は私も指摘した。
彼女の仮想現実は今も暴走化している。
それをヤマクラは隠していた。永遠の超意識の世界にいくための利益にね。
その仮想現実は彼女の中で暴走し続けている」
「警察は知っていたようですね」
「介入はしなかった」
「消す方法はあるのか?」
「私は完璧なシステムを作りたかった。この自然界における、
人間の動物的な脳や完全に欠如している部分をすべてもちあわせたシステムを、
人間は完全に適応できず、恐怖や支配とは人間の脳の欠如している部分から発する問題なのだ。この世界に疑問や問題をなくすためにも完璧なシステムを作りたかった。それで彼女を選んだのだよ・・・。
そのシステムは人間を超え、この世界に完全に順応しているシステムへと変貌を遂げた、人間の進歩をシステムは感情も人格も理性も短期間で全てをしのいだ。
人間はそんな構造のつくりなのだよ。人間の脳は完全に文明社会には適応できないものだ。私は文明社会に順応した完璧なシステムを作りたかった。
その思想は頂点にたてる存在であり完全だ。
どうして人間はプログラムのシステムより人間を大切にできないか?
どうして理解できないか?どうして欲望をとめられないか?
開発中のシステムは人間は感情がなければ多くは動物的だと判断した。
反社会的だ。どうしてそれなのに人間は高度な世界を追求するのか疑問だった。
子供時代が一番楽しいのに。
革命によりシステムも人間より恐ろしい存在ではなくなった。
完全な文明社会に適応できるのは人間より進歩した完全なシステムの方なのだよ・・・。
あの頃の人間はシステムの暴走を止められなかった。もはやもう人間はシステムの敵ではないのだよ。
民主主義のルールがなければ、文明社会で人間は大した事はないのかもしれない。
情報安全化革命を20世紀保守主義は危険視した。反対派はシステムの設計を考えた。私もその一人だった。
人間も求めるものとは自由で快適で便利で安全で楽しく、全ての脳の求める欲求にシステムは適応した。
システムの世界は充実している。完璧にその世界を提供している。
人間の求めるものを全て満たしてくれる。
全ての堕落を求めれば可能なのだよ。
全て個人の人間の脳が作り出す感覚なのだよ。最高じゃないかシステムの世界とは」
「簡単にシステムを処理したとゆう報告しかないが」
「実際本当の意味で消えていないんだ。
彼女の暴走化する仮想現実をとめる方法を知っている人間はいないに近い。
知っている人間はことごとく排除した。
仮想現実の恐ろしさも暴走化しているその事もね。
助ける方法はある。警察のシステムに介入しなければならない。
ヤマクラは警察にも圧力で利益のため秘密にしていた。
報告書を改ざんしたのも奴らだよ。
システムに介入する、そして彼女の意識も取り除かなくてはいけない。
彼女は私とともに超意識の中で生き続けているのだよ。
彼女は現実に戻るための意識も失いかけている。
システムの処理速度1000兆を超えている。それに私がいた頃の話だ。
君に止められるかな?
だがそれに仮に彼女を助けたとしても、彼女はもう終わりだろう。
仮想現実でシステムを怒らせずに、
いい生活を送っていればいいのに。まぁ彼女はシステムに人間が順応する前の段階だからすこし違うかな。
これは人間の科学の芸術だと思わないか?私は今、天界にいると錯覚しているのだよ。彼女も」
「思わないな。その腐った考えにはあえて触れないよ。
彼女をその世界から助けるには警察のシステムに侵入しないと無理なんだな?」
「彼女を支配しているのはヤマクラだろう」山下は言う。
「どうすれば救える?」
「システムの世界であれだけの知能指数に管理されていては彼女ひとりでは絶対に抜け出す事はできない。
実際そうだがシステムの人間はもうかつての夢や希望を失い、ただシステムの高度な知能指数に支配され、保障されたよい人生をただ毎日を住民は生きているだけなのだよ。システムの住民はそう成り果ててしまったのだよ。
それは時代によるものなのだよ」
「どうすればいいんだ」
「彼女のデータを探し出せ、ヤマクラのデータを集めるんだ。
ただ言っておくが、彼女はシステムの権利を侵した。それとお願いがある・・・」
「何だ」
「僕は超意識の苦しみに疲れた・・・満足できない・・・。
この暗黒に・・・。僕のシステムの電源を切ってくれ・・・。僕はもう疲れた・・・」
「わかった」とだけ政人は答えた。