精神病棟
政人は山下ともに山石の住所禄を調べた。彼の住所は住所禄には載っていない。
「あいつはヤマクラの連中や組織の連中によって監禁されている」
山下は言った。
「彼の住所は住所禄にも登録されていませんね・・・家族はいるのでしょうか?」
政人は言う。
山下は彼の事を調べたノートで状態を言う、
「嫁とは別れ、子供も死別している。家族はいないようだ」
「では、彼はどこにいるのでしょうね」
「彼の奥さんだった人間は知っていそうだ」
政人は住所を調べ彼の別れた嫁の所へ向かう。
典弘の元奥さんのパブを訪ねる。呼び鈴とともにパブにはいった政人は、席に座り、愛想よく出てきた女主人に山下と一杯もらうと、警察手帳を見せ、話を切り出す。
突然の事で女は戸惑う。
「警察庁捜査2課の者ですが、別れた旦那さんの事について知りたくて伺いました」
女はめんどくさそうに、
「結婚はしていたわ、すぐ別れたけど、あんまりいい旦那じゃなかったけどね、暴力沙汰も起こす男だったから・・・」
「関係は長かったのですか?」
「子供が産まれてすぐ別れたわよ」女主人はそう言って自分の煙草に火をつける。
「今彼は何処にいますか?」
「何処にって、何の事でよ」
「捜査の事で」
「埼玉の精神病院に入院していたのは覚えているけど。あそこにまだいるわよ」
政人は山下は顔を見合わせる。
女は「別れた最低の男だけどどうゆう事?できる事はしたいけど」
そう言って、彼との生活や今精神病院に監禁状態なのを語った。
「精神病棟にいるわ、長くあそこでいる。もう身寄りがないと思うけど、心配はしている」
政人は女に「ご協力ありがとうございました」と言い、
埼玉の精神病院に向かう。
彼の専属の病院の先生に看護婦が、「先生、警察の方が来ています」と言う。
「警察?」医師は不思議がったが政人と会う。
「彼に会いたいのですね、では案内してあげて」と看護婦に言う。
看護婦は、無言で典弘のいる病棟に二人を案内してくれた。
二人も無言で看護婦の後についていった。
やがて彼の隔離病棟に着く。
彼に会った。彼はベッドに寝ていて、普段は病棟の患者とオセロをしたりしているようだ。
彼を見る。彼は歳のわりに白髪になっていて完全にやつれている状態で、心身ともに疲れ切っているようだ。
政人は彼に話しかけた。
「貴方は昔システムの開発に携わっていたようですが、その事を聞かせてほしい」
「何の事を知りたいんだ?」
「システムに数十年前、あんたは女の意識をシステムにいれたじゃないか。
俺の顔を覚えているか?山下だよ」
「昔捜査で僕の事をしつこく聞いてきたあの刑事か・・・。
そういやお前ともう一人いたな。もう一人はどうした?」
「死んだよ」
山下は言う、
「女をどうした?」
「彼女はもう死んでいるよ」
「何」
「死体はヤマクラに冷凍保存されているよ」
「彼女は死んだ・・・」
典弘はそう言うと、
「肉体はね・・・彼女は本当に死んでいる?いや、彼女の意識は生きているよ。
仮想現実でね。彼女の意識はシステムとともに今も暴走している。
彼女はもう誰にも止められない・・・」
「とゆうと?」
「彼女の遺体を管理している所を言う、警察の力でなんとかしてほしい」
「貴方も助けたい」政人は言う。
典弘は紙に住所をペンで書いて、カードを渡し、
「ここに行け、このシステム開発に携わった最後の生き残りがいる・・・」
そして、
「やめろ・・・システムの事は言うな」
彼は震え出した。
「やめてくれ、やめてくれ」
と言い出す、
政人は急いで看護婦を呼ぼうとする。急ぎ足で看護婦達が駆けつける。
そう言ううちに彼の周りに長い計算の表示が映し出され、システムの警告の
声が響く。
彼は何度も叫ぶ、
「もう無理だ!もう無理だ!システムに感ずかれるのは時間の問題だ!」
そう言って彼は狂った状態で、引き出しから銃を取り出すと頭に弾丸をぶち込み死亡した。