旅の予感
船はやっと本土の港にたどり着いた。
そこから港を抜けて列車に乗る。ずっと黙っていた詩織だったが自分の生い立ちを語る。
そんな二人がブラジルのサンパウロ国際空港に着いた。
とにかく太平洋は空賊がたくさんいて、飛行ルートも太平洋を通らず、
大きく北をとおって北アメリカから南アメリカにいく進路をとった。
運よくなんとか到着はできた。
「あの島に送られてきたのは子供の頃、自分がクローンだったから、最初は地下刑務所
に入れられて日々を送った。そのうち古木に気に入れられて、あの城で生活を送った。
塀の中では普通の子供と同じような何不自由ない生活だった。それなりに勉強も運動も義務ずけされていた、友達もできた。
でも親の愛情はなかった。塀の中では親の代わりに世話をしてくれる人がいて、その人の言う事には従っていた。でも外がどうなっているかなんてわからなかった、
親と会いたかった、でも自分がクローンで親がいないと知らされたのは大分大きくなってからだった。
その私が今自由の世界にいる。私は嬉しい、こんなすがすがしい風は初めて」
詩織は外の世界を初めてめてみるのか子供のように嬉しがる。
「とにかく自分の家に案内するよ。行くあてもないんだろう」
祐介は車に詩織を乗せると車を進ませた。
「ありがとう」
車内で詩織の声が響いた。
家に着いた。詩織は真っ先に家に駆けこんでは嬉しい顔を見せた。
灯りを付けた後、祐介は
「でこれからどうするんだ、
これで俺の仕事はパアだ、新しく探さないとな。もっともあそこは御免だが、
君がやっていけるようになるまでここにおいといてあげるよ。
それと車に乗れよ」
「どうして」
「いいから乗れよ」
「わかった」
そう言って詩織を連れて、祐介は海洋学の他に医師の資格を持っていた祐介は自分の友人の大学に向かった。
「君を知り合いの大学の医者の友人に健康状態とかを見てもらうよ」
自分の大学に詩織を誘った。
大学に着くと、
「ヒドイ目にあったそうだが・・・」
「お願いがある、この大学で脳のIQを正常にする機材があったはずだ。
使わせてくれないかな、彼女が外の世界に出てもやっていけるようにしてほしい」
電子器具の頭に被せる器具を詩織につける。
「何?私をどうするの」
祐介は器具の電力を上げる、
大量の機材、詩織に取り付けられた機械で詩織のIQは子供並みに回復していた。
そんな事をしているうちに2年が過ぎた。
詩織は祐介の手伝いで家でいたが、
周りに溶け込むのは無理だった。
そんな祐介が世界旅行をしたいと言い出したのは詩織と会って2年目の頃だった。世界旅行は祐介の子供の頃からの夢だった、
「そうだ、今度世界旅行に行きたい、オーストラリアに行きたい」
それを聞いて詩織は、
「私もその旅に連れて行ってほしい、お願い」と言った。
「地球は広いぞ、詩織ために世界を見せてあげたいな、オーストラリア旅行は自分の夢だったし」
「いい旅にしたい」
そう言って二人は新しい人生を見つける旅に出かける。