第一章
12
俺と戒斗で無人ISを倒し、一応報告しようと思い俺たちは管制室へ向かった。中は何とも言えない雰囲気が漂っていた。何故だ?

「織斑先生、あのISは見ての通り俺たちで破壊しました」

「……操縦者はどうした?」

操縦者?確かにあのISは俺たちの攻撃を受けて木っ端微塵になった。ISには『絶対防御』というものがある。普通だったら死ぬことはない。だが俺たちの攻撃で絶対防御は貫通したと言っていい。その結果あのISは爆散した。操縦者がいたら確実に死んでいるだろう。操縦者がいたらな

「あれは無人機だ」

戒斗が言い出した

「無人機?そんなまさか?」

「見ろ。血も肉片も一切ない。あるのは残骸だけだ」

織斑先生と山田先生がアリーナを見てみると残骸しか残ってない。この部屋にオルコットもいたが俺たちが入るなり逃げ出すように出ていった

「本当に無人機なのか……。それより、何故ユグドラシルのあなたがここにいる?」

「あんたも知っているプロフェッサーの命令だ。何か起きると言われて来てみれば、あんな奴が襲撃して来るんだからな。ここの警備はどうなっている?」

だからお前が言うな

「………」

戒斗の問いに織斑先生は答えられない。これで警備の手薄さを実感しただろう

「どうして、プロフェッサーは何か起きるとわかったんですか?」

今度は山田先生が聞いてきた

「さあな。あいつの予測はだいたい当たるからな。本当は自分でやってるんじゃないかと思うくらいな」

「そうだ、呉島、どうやってアリーナの中に入った?シールドの遮断レベルは4に設定されていたはずだ」

「俺が扉を壊して入っただけだ」

さらっと言ってるがあれは異常だぞ

「壊しただと⁉︎」

「あの状況で学校に気を使えとでも?言っておくが、あれは人命優先した結果だ」

「どうやって壊したと聞いているんですが?」

「殴ったり蹴ったりした。それだけだ」

本当よくそれで壊したものだ

「それでシールドが壊れたんですか?」

「ああ」

先生2人ドン引きだぞ

「それより、あの3人はどうした?あいつらもあそこにいたからここにいるべきじゃないのか?」

それもそうだ。あいつらどこにいる?

「今呼びます」

山田先生が織斑、篠ノ之、凰を呼び出し、集まった

「千冬姉、何でこの2人が?」

「織斑先生だ。この2人があのISを倒したから報告に来ただけだ」

すると戒斗は篠ノ之の所へ行った

「貴様か、あの時放送していたのは?」

「え?私だが…?」

戒斗は篠ノ之の胸ぐらを掴んだ。これは相当切れている

「おい、何してんだよ⁉︎」

織斑は戒斗が篠ノ之に掴みかかったことに切れて戒斗を離そうとしているが逆に払われたか

「貴様、あれは何の真似だ?」

「あ、あれとは何のことだ?」

「あの放送は何の真似だと聞いている!」

「あ、あれは一夏を応援しようと……」

「応援だと?ふざけるな‼︎」

「ひっ!」

戒斗の怒号で織斑先生以外がビビり始めたか。山田先生と凰は泣きそうになっている。戒斗はキレると本当に怖い

「あそこにはまだ他の人間がいたはずだ。貴様の勝手な行動で他の奴の命が危険に晒されたんだぞ‼︎もし自分の命を顧みず隙を作ろうとしたなら褒め称えているが、そんなことはなかったな。あそこにいた奴の命より、応援が大事か⁉︎」

そう言って戒斗は篠ノ之を突き放した

「おい、そこまで言うことないだろ‼︎箒は俺の為にしてくれたんだぞ‼︎」

何を言ってるんだこいつは?

「自分の為にしてくれたから許せとでも?なら貴様は自分を応援してくれたから他の奴は死んでもいいというのか⁉︎」

「そんなこと言ってないだろ‼︎それに、皆助かったんだからいいだろ‼︎」

「なんだと?」

「戒斗」

「貴虎?わかった」

戒斗は俺の考えを読んでくれたか。

「織斑、言っておくがあの攻撃を完全に防げる保証などなかった」

「なっ⁉︎でも防げたじゃないか‼︎」

「ああ、結果的にな。だがそれは結果論に過ぎない。もし防げなかったら、あそこにいた奴は全員死んでいた。現にあの攻撃は盾をボロボロにするほどの威力があったからな。織斑、貴様は前に皆を守ると言っていたな?」

「それがどうしたんだよ?」

「だったら何故守ろうとしなかった?何故叫ぶだけで守りに行かなかった?」

「そ、それは……」

「本当に守りたいと思うのであれば身を呈してでも守りに行くはずだ。貴様にはそんな覚悟がなかったか。それともなんだ。戒斗が叩き落としたからその痛みで行けなかったのか?だとしても痛みを堪えてでも守りに行くんじゃないのか?」

「………」

「所詮貴様はその程度だ。口だけは達者でそれが現れていないのが何よりの証拠だ。覚悟もないのに軽々しく守ると口にするな‼︎」

「…………」

ふん、だんまりか。やはりこいつはたかが知れてる

「ふん。貴虎、俺は戻るぞ。このことをプロフェッサーに報告する。お前は休め」

「ああ、すまない」

戒斗は管制室から出て行った

「そういうことだ。篠ノ之、お前には処罰を下す。わかったな」

「……はい……」

これで無人機襲撃事件は幕を閉じた

ランV ( 2015/03/21(土) 17:01 )