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今日、中国の代表候補生が2組に転校してきた。どうやらそいつは織斑と知り合いのようだ。だが何故このタイミングで転校してきた?こんな時期に転校してくるなら最初からIS学園に来れば良かったはずだ。……まさか俺のアーマードライダーのデータを奪いに?いや、俺がアーマードライダーと知っているのは1組だけだ。俺はあくまでユグドラシルの人間としてしか全国的に知られていない。世間が知っているアーマードライダーはバロンだけだ。だがもし知られていたら…、それはない。あいつは織斑しか見ていなかった。あの二人は知り合いだ。まさか本当に織斑に会いに来たのか?そうであって欲しい。そうであることを切に願う。俺が何もしない限りあいつも何もしないだろう
昼休みになり俺は学食へ向かった。今日はランチセットにするか。食券を買い渡そうとしたが、そこに例の転校生がラーメンを持って立ち塞がっていた。迷惑極まりない
「おい」
「なっ、何よあんた⁉︎」
「通行の邪魔だ。どけ」
「う、うるさいわね。わかってるわよ」
「なら早くしろ」
「わかったわよ‼︎」
だったら最初からそこにいるな。俺は食券を渡し料理を受け取り空席を探す。丁度数席空いているところがあった。そこにしよう
俺が食べ始めて少しした頃に、奴らが来た
「貴虎…」
「何であんたがここにいんのよ⁉︎」
何ふざけたこと抜かしてるんだ?
「最初に見つけた席がここだっただけだ。第一、ここはフリー席だ。どこで食事をしようが俺の自由だ。貴様如きに指図される筋合いはない」
「何なのよあんた、さっきから生意気なことばかり言って‼︎」
「事実だ」
「また生意気な!」
「おい鈴、よせって」
「何よ‼︎一夏まで⁉︎」
「悔しいけど貴虎の言ってることは正論だ。もうここでいいだろう」
悔しいとは何だ悔しいとは。まあ、あの勝負以来織斑は俺のことを敵視している。ついでに篠ノ之も。というよりもクラスのほとんどが敵視している。例外もいるが
「私は構わない」
と言っているが俺を睨んでる。わかりやすい奴だ
「私も構いませんけど…」
そう言うが俺から一番遠い席に座った。あの教室での態度は強がっていただけか
「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」
「そうですわ‼︎一夏さん、まさかこちらの方と付き合ってらっしゃるの⁉︎」
俺が絡まなくなった途端に態度が豹変するのか、あいつは
「べ、べべ、別に私は付き合ってる訳じゃ……」
「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ。ただの幼なじみだよ」
「………………」
「?何睨んでるんだ?」
「なんでもないわよっ‼︎」
急に大声を出すな。耳障りだ
「幼なじみ……?」
こいつには幼なじみが多いな
「あー、えっとだな。箒が引っ越していったのが小四の終わりだっただろ? 鈴が転校してきたのは小五の頭だよ。で、中二の終わりに帰ったから、会うのは一年ちょっとぶりだな」
「で、こっちが箒。ほら、前に話したろ? 小学校からの幼なじみで、俺の通ってた剣術道場の娘」
「ふうん、そうなんだ。初めまして。これからよろしくね」
「ああ。こちらこそ」
もう勝手にやってろ
「ンンッ‼︎私の存在を忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生、凰 鈴音さん?」
本当に何なんだこいつは?俺がいると怯える癖に
「……誰?」
「なっ⁉︎わ、私はイギリス代表候補生、セシリア・オルコットでしてよ⁉︎まさかご存じないの?」
あの時も思ったが他国の事情など知る由もないだろう
「うん。あたし他の国とか興味ないし」
それが普通だろう
「な、な、なっ……⁉︎」
もうお前は俺に近づくな。俺が居ないところで勝手に強がってろ
「い、い、言っておきますけど、私あなたのような方には負けませんわ‼︎」
「そ。でも戦ったらあたしが勝つよ。悪いけど強いもん」
こいつはとんだ自身家だな
「い、言ってくれますわね……」
「で、生意気なあんたは何なの?」
…………何なんだこいつらは?人に話を振るのが趣味なのか?
「人にものを尋ねる時は自分からって教わらなかったのか?」
「おい貴虎、お前話聞いてなかったのかよ‼︎」
何故それだけでキレる。こいつは相当俺の事が気に食わないようだな
「そんなに近くにいるんだから話くらい聞いてなさいよ!」
「悪いが他人の話など興味はない」
「なっ⁉︎わかったわよ、名乗ればいいんでしょ。あんたみたいな偉そうな奴に。あたしは凰鈴音よ、あんたは?」
「名乗られたら名乗り返すのが礼儀だ。呉島貴虎だ」
さて、食べ終えたことだ。早く戻るとしよう
「ちょっと、どこ行くのよ」
「俺はもう食べ終えた。食べ終えたら長居する必要もない」
「待ちなさいよ‼︎」
奴らは無視だ。俺は俺のことをしよう
今日の授業が終わった。今日はプロフェッサーに呼び出されているためユグドラシルに向かっている。一体何の用だ?
ユグドラシルに着き、プロフェッサーの所へ向かった
「来たようだね貴虎」
「プロフェッサー、今日どういう用件だ?」
「ああ、この前君の家に襲撃があったらしい」
何だと?そんなことがあったのか?
「おい、何故それを黙っていた⁉︎」
「落ち着きたまえ貴虎。弟君が襲撃者を撃退したらしいよ」
光実が?それなら納得できる。ダンス仕込みの戦い方でもしたのか?
「それじゃあ、奴らは襲撃を2回失敗したことになるな」
「ああ、それっきり襲撃はなくなったよ」
「これで少しは静かになるな」
「まあそんなことはどうでもいいんだけど」
じゃあ言うなよ
「貴虎、これを見てくれ」
そう言ってプロフェッサーは俺にある映像を見せた。これは…
「白騎士事件?」
白騎士が何発ものミサイルを撃墜している。だが、何故これを俺に見せる?
「次はこれだ」
プロフェッサーが次に見せてきたのは第一回モンドグロッソの映像だった
「ちなみに決勝戦だ。あれが織斑千冬だ」
現役時代の織斑千冬か。ある意味新鮮だ。だが
「これを見せて、俺にどうしろと?」
「2つを見比べて見たまえ」
そう言われ俺は見比べた。……………まさか⁉︎
「同じ動き………」
「そう、白騎士の正体は織斑千冬だ」
「だが、何故織斑千冬が白騎士に?」
「話せば長くなりそうだけど話そう。私がある学会に行った時だ。そこに何と篠ノ之束がいてね。そこで篠ノ之束はISを発表したんだ。だけど皆それを否定したんだ。そしてその直後に事件が起きた」
「それのどこに織斑千冬が白騎士の関係がある?」
「篠ノ之束は重度のコミュ症らしくてね。彼女が仲良かったのは織斑千冬だけだ」
「それで?」
「ISを否定された篠ノ之束はISを世界に認めさせようとした。その結果彼女がとった行動は?」
「………まさか?」
「そのまさかさ。彼女は世界中のミサイルをハッキングし日本に発射させた。そのミサイルを織斑千冬が乗る白騎士に撃墜させる。これでISの凄さが証明されるというわけだ」
「なら白騎士事件は⁉︎」
「マッチポンプ。つまり自作自演さ。どうも篠ノ之束は自分の好きな人間以外の命なんか、軽んじてるみたいだしね」
「何故その話を俺にした?」
「クラス対抗戦が近々あるだろう?」
「ああ、それが?」
「おそらくその時に何か仕掛けて来るんじゃないかい?」
「何?」
「織斑一夏の専用機、白式と言ったね」
「ああ」
「あれ、普通に読んだら『びゃくしき』じゃなくて『しろしき』と読むんじゃないかい?」
「成る程な。あいつの機体は白騎士の生まれ変わりということか」
「そして、あいつは自分の気に入ってる人にしか興味がない。もしかしたら、織斑一夏に活躍の場を与える可能性が」
「ほう、それで?」
「あいつの思い通りにさせるわけにはいかない。その時は、頼むよ?」
「……わかった」
ユグドラシルから学園の寮に戻った。自分の部屋に戻る途中に、急にある部屋の扉が開いた。そこからでてきたのは凰だった
「急に飛び出して来たと思ったらお前か」
「何よ‼︎うるさいわね‼︎」
なんか泣いている。放っておこう。そうして部屋に戻った
そしてクラス対抗戦当日。最初の組み合わせは1組VS2組となった。あいつらからやるのか。まあ、期待などしていないが。今俺は観客席の一番後ろで立っている。あの時のプロフェッサーの言葉通りだとすれば、何か来るはずだ。すると
「おい」
別の何かが来た
「戒斗、何故お前が?」
「プロフェッサーに行けと言われてな。仕方なく来た。まあ、俺はアーマードライダーと知られている。だから別のところから入ってきた。謂わば不法侵入だ」
なんだこのザル警備?
「戒斗、プロフェッサーから聞いたか?」
「ああ、何かあるとな」
「始まったぞ」
二人の試合が始まった。凰のISは『甲龍』というらしい。中国、龍。まるで龍玄だな
試合が進む。甲龍の肩が開いた。球体が光だした瞬間に織斑が吹っ飛ばされた。あれは『衝撃砲』というものだったな。さすが専用機。装備が充実している。だが織斑もやられてばかりではない。反撃に移ろうとそている。もしかしたら装備関係なかったら互角なのか?現に互角だ。伊達に特訓していたわけではないようだな。
「IS同士の勝負か、だがあいつらは力の使い方がなっていない」
「仕方が無い。所詮あいつらは専用機を持とうがただの学生に過ぎない」
「学生のお前が言っても、説得力がない」
それもそうか
試合がさらに進む。結構長引いたな。2人が動き出した。次で決める気だな
ズドオオオオオンッ!!!
途轍もない衝撃がアリーナを襲った。今の衝撃で砂煙が充満している。あの中に何かいると思っていると。煙が晴れた。そこには全身装甲の謎のISがいた